あかずの間

  (ヴィジット)


このゲーム感想には重要なネタバレが含まれるので、クリアした人だけご覧ください。


以前このゲームのレビューをアップしました。
桃子あかずの間最初のレビュー


それから何年も過ぎ去り、もう二度とこのゲームをプレイすることはないだろうと思っていた頃。

ふと見かけたネットレビューで「あかずの間には三つのメインストーリーがある」と書かれていました。

そして、私たちが初回にプレイし、がっかりし、二度とやらんと思ったストーリーは『カツタミノル怨霊編』であり、ほかに『カツタミノル実在編』と、『コンピューター編』の二つがあることがわかったのです。

・・・・・カツタミノルが実在してるストーリーもあったのかΣ( ̄ロ ̄lll)


・・・これはかなりの衝撃でした。

カツタミノルが死んでたから「クソゲー」呼ばわりしたのであって、
実在編があるなら、そこまでぼろくそに言うこともなかったんじゃないか?

と考え直し、再プレイしてみることにしました。
もうひとつあるいうメインストーリーもやってみたかったし。



結論。
・・・・やるんじゃなかった。・゜・(ノД`)・゜・。


なので、ここから先は、このゲームに愛着のある方は読まないほうがいいかもしれません・・。


最初のレビューでもストーリーはちょこっと書きましたが、ここでも改めて書きます。

主人公はサイコセラピストの綾川恵美。
ベイサイドラビリンスと呼ばれる最新型のマンションに、仕事でやってきます。

ここでは、90日間閉鎖され、その間に起こる人間の心理変化や健康状態など、様々な立場の人間を集めて調査すると言う実験を行う予定でした。

参加者は恵美を入れて10名。
オペレーターの加藤公平。妻の奈美子。
政治家の黒沼。
映画監督の大澤。
シナリオライターの尾崎。
女優の武藤ゆかり。
AV女優の結城ミル。
アイドルの浅香愛。
自称超能力者のラグーン岡留。

部屋は9部屋それぞれに振り分けられ(夫婦は同じ部屋)
一部屋は整備が終わっていない、入れない『あかずの間』でした。

そして、事件は最初の日の夜に起こります・・。



というわけで、語りますが。
まず、主人公の恵美がイマイチです。
特にひどいのは『コンピューター編』の恵美ですが。

恵美は冒頭の、ベイサイドラビリンスに向かうヘリの中で出会ったばかりの操縦士にプロポーズされるという選択もあることから、外見は結構美人の設定。

有能で、てきぱきしているような描写もありますから、仕事はできるタイプ。

しかし、仕事でやってきた最初の夜に、いきなり「彼氏がほしい」「誰か私をくどいてほしい」などと欲求不満になるのが微妙。
せめて数日過ごして、新婚の加藤夫妻のラブラブっぷりにあてられたり、尾崎のさわやかさにときめいたりするエピソードがあったなら別にかまわないですが(^_^;)

この部分は『カツタミノル編』でも『コンピューター編』」でも共通なので、
これからまじめなサスペンスが始まろうとしているのだろうとワクワクしている私たちの気分をそぐので、あまり好きな場面ではありません。

多分恵美を「仕事はできるけど、ちょっと寂しい夜もある普通の可愛い女性」と言うタイプにしようとしたんでしょうが・・・。
恵美のエピソードとか、内面を描くシーンがほとんどないので、むしろ逆効果でした・・。


『カツタミノル編』と『コンピューター編』を分ける分岐は、自己紹介の場面です。(ミルへの反応の違い)
それに気づくのが大変で、何回もカツタミノル編をやる羽目になってげんなりしました・・・(>_<)

このゲーム、テキストを読んでいくだけだしスキップ機能もついているから、サクサク読み飛ばせるかと思いきやそうじゃない。
移動するときとか方向転換するときとか、画面が動いていき(3D視点)、そこはスキップできない仕様なのでもたつくのです。

ついでに、選択肢はいろいろありますが、何を選んでも状況が同じというのが多いのもちょっとつまらないです・・。

『カツタミノル編』は導入部分は「怨霊編」「実在編」とも一緒。


欲求不満に陥った恵美のところに、映画監督の大澤が訪ねてきます。
別にくどきにきたわけじゃありません。
・・・だから、その前の恵美の描写はいらないと余計に思うんですが。

さておき、大澤は、愛のことで相談に来ます。
実は大澤と愛は親子で(愛は知らないらしい)、愛はストーカーのカツタミノルに追い回されてまいっているということを打ち明けてきたのです。

そのとき、非常ベルが鳴り響き、かけつけてみると
愛がゆかりの首を手に持って、血まみれで突っ立っていた・・!


「怨霊編」と「実在編」を分ける分岐は、このあとの愛へのカウンセリングです。
愛がゆかりを殺したのか、そうじゃないのかを知るために、愛に催眠をかけてそのときのことを語らせるセラピーを行うことにした恵美。

それによって、状況を把握することができました。

ゆかりは飼い猫を抱いて愛の部屋を訪れ、猫が逃げ出したのを二人で追いかけて捕まえてから、部屋に入ります。
そしてゆかりは愛への嫉妬(大澤と恋人らしく、愛が大澤に可愛がられてることと、人気絶頂の愛にムカついてること)をぶちまけたあと、首を絞めてきます。

そして意識がなくなる直前に愛が見たのは、カツタミノルの姿・・・。


ミルは愛を気遣っているようで、「もうやめようよ、愛ちゃんが苦しんでる」と訴えてきます。
それに同意すると、「怨霊編」へまっしぐら。
続けることを決めると「実在編」に入ります。

私たちは初回、かわいそうだと言うミルの訴えを聞いて、やめたため、
「実はカツタミノルはすでに死んでおり、怨霊となって自在に生きてる人間にとりつけたんだよ♪」というオチを迎えて、
一応犯人として捕まえた公平を無駄にぶっ殺しただけで、
最終的に大澤にとりついたカツタミノルに愛が襲われるところでエンドとなり、「なんじゃこりゃああ!!」とブチキレたわけです。


しかし、『カツタミノル実在編』では、ちゃんと容疑者の中にカツタミノルがいるんだね!
と、期待して始めてみたのですが・・・・。

なんと、カツタミノルはしつこくも容疑者の中には存在しないと言うオチでした(≧∇≦)/

怨霊編と一緒じゃないか!!


・・・・せっかく推理するのに、犯人が容疑者の中にいないっていうのは、あんまりです。
いくつもある話の中で、そういうのがひとつくらいあるのはまあいいとしても、たった二つしかない話でそれをやるのはひどすぎる(ノ_−。)


結局、カツタミノルは変装して関係者の振りをして入り込み、整備されていないはずのあかずの間に忍び込んでいたというオチ。
9人の容疑者には完璧なアリバイがある。
それも当然、だってその中にはカツタミノルはいないんだもん♪

・・・・・・・・・・・・・・。

怨霊編と分けた意味はあるんですか。・゜・(ノД`)・゜・。



一応このルートでは、公平は生きてます。
カツタミノルに刺されて、部屋の鍵を奪われてうめいてはいるけど、まあ助かるでしょう。
そして、愛も生きてます。
それはよかったけど・・・・・。

最後になぜか突然大澤と愛の親子劇が繰り広げられるのはいらなかったです。

カツタミノルに襲われた愛を、間一髪恵美と尾崎が助け、尾崎とカツタミノルの激しい攻防戦が繰り広げられ、尾崎が勝利したところで現れる大澤監督。
「愛は俺が守る!」
・・・・・いまさらなにを言ってるのかこの人は。

そして「実はお前は俺の娘だ」「わかってたわお父さん・・」
イキナリ始まる三文芝居に、私と藍は呆然(゜Д゜)

大澤と愛の心の交流も、何のエピソードもないためこっちに何の感動も伝わりません・・・。(大澤が恵美に語った話だけでは薄すぎる)

やっぱり、閉鎖された最初の日に事件を起こしたのは失敗です。
数日の間にキャラクターの掘り下げエピソードをいろいろ入れてからにしてくれれば、唐突じゃなかったのに。



『カツタミノル実在編』も、しょうもないものだったということで、
そうとうやる気がなえていましたが、せっかくだから『コンピューター編』もプレイしてみようということに。


・・・・・・・やるんじゃなかった(ノд<。)゜。

カツタミノル編よりもさらにどうしようもないのが、このストーリーでした。
そして恵美の描写がひどすぎる。


このルートでは、やたらに「恵美が有能なセラピストである」という設定を押し出そうとしている感じがしました。

でも、その描写があまりにもあっさりしてて、こっちには通じません。

自己紹介のときに、愛がすごい攻撃的な態度をとっていたのを、恵美がなだめて落ち着かせ、心を開かせるという展開になりましたが、
あれだけ怒ってた愛が、いとも簡単に心を開くのがおかしい。
有能だからですまされるのか・・??


最初の夜、こっちのルートでは尾崎が訪ねてきます。
ここの選択では、尾崎に気があるようなものを選ぶとプロポーズされると言うものもあります。

しかし通常は、尾崎のシナリオのストーリーのネタを聞いている間に、事件発生という流れ。

ゆかりの猫が首と胴体まっぷたつで転がり、
血文字で「メグミ」と書かれていた。
(メグミって誰かと思ったら、主人公でした。
てっきりエミかと思っていたので、どうでもいいけどここで初めて主人公の名前を知った私たち・・・)


ゆかりは半狂乱になり、主人公がやったと決め付けます。
血文字だけではなく、最初の自己紹介のとき、ラグーン岡留が恵美を「悪魔呼ばわり」して、恵美が来たらこのマンションの悪意がひどくなったとわめきちらしたからです。

ショックを受けている恵美に、尾崎が一言。

「天使みたいに優しいあなたがそんなことするはずがない」

・・・・・・・・・・・(゜Д゜)

何だこのセリフ・・・・。

天使みたいって、あんた恵美の何を知ってるの・・・。


尾崎の狂ったセリフに私たちは呆然としつつも、
とりあえずテキストを進めました。

翌朝。
恵美は昨夜のことを考えます。
猫の死体、血文字、いったい誰がやったのか。

気が重くなっていたところへ、尾崎からの電話があり、これから相談があると言います。

尾崎を迎える準備を始めた恵美は、イキナリ浮かれます。
天使みたいな優しいあなたという言葉に舞い上がって、尾崎に好意を抱いたようです。

そして、尾崎を迎え入れた恵美は、ミルを昨夜泊めていたことを思い出して軽く残念な気持ちに。

猫の死体なんか恵美にはどうでもいいらしい。

・・・・・・・・・。
何だこの人は・・・・(ノ_−。)
もはやついていけません。
あんな猟奇的な事件が起きたのに、血文字で名指しされたのに、デートの前みたいにはしゃいでるなんてありえない。


そのあと、奈美子の歌声の子守唄がスピーカーから流れ、地震が起こり、防災シャッターが勝手に降りるなどの事態が発生。

公平と奈美子は何かを知っているのを隠している様子。


全員が公平にどうなってるのかを問い詰めたとき、奈美子は「私たちを許して」と言いながら廊下に設置してあるミノタウロスの像に向かって歩き出します。

そこはゆかりの猫がまっぷたつになったところ。

像から触手が飛び出し、奈美子に絡みつき、奈美子は倒れました。

呆然とする中、公平は気が狂ったようになり、拳銃を像に発砲。
すると触手が公平に襲い掛かり、腹を貫き、公平は苦しみながら「お前に復讐を果たさせない」と叫んで自らの頭をふっとばし・・・・・。
残された血文字「メグミタスケテ」


スプラッタでした(≧∇≦)/

・・・・私と藍は、スプラッタがだいっきらいです。
スプラッタの描写としては、それほどじゃないかもしれませんが・・・
十分気持ち悪かった。


このルートでは、首と胴体まっぷたつが何回も起こります。
そもそもカツタミノル編でも、ゆかりの首がぶったぎられていたわけで、
恵美が胴体の切り口を調べてるシーンとか、ホントやめてほしかった。
しかもその現場調べが無意味であるという結末からすると、ホントに無駄なシーンだった・・。

このルートでは目の前でのまっぷたつが何回も起こるので、最悪な気持ちになりました。



結局のところ、このマンションのあかずの間に置かれた、元となるコンピューターが起こしていた事件でした。

そのコンピューターは人間の赤ん坊の脳みそを媒体にしているらしく、
もちろん国家機密。
公平や奈美子は知っていて、奈美子はそのコンピューターを哀れみ、子守唄を歌ってやったりしていたらしい。

コンピューターの心はまだ赤ん坊のようなもので、自分にどんな力があるかわからずに人を殺してしまっていただけ、脳みそだけの自分だから、人の頭に関心があり、まっぷたつにしていただけ、死ぬとかよくわかっていない、ただ逃げないでほしいから逃がさないようにしていただけ・・・・
ということらしい。(理解した恵美によると)


恵美は自分が来たせいでコンピューターがそのように反応したと自分を責めました。
しかしそこで、冒頭悪魔呼ばわりしたはずのラグーンが、「自分を責めることはない」と言い出しました。 「あんたは優しい人だ」
・・・・いやいや、ちょっと待て。
悪魔呼ばわりしといて何を言ってるのこのひと。

ラグーンは冒頭恵美を悪魔呼ばわりしたあと、一人瞑想だとかいって部屋にこもりっぱなしで、スプラッタ地獄に見舞われて相当人数を減らされた犠牲者恵美たちとのちに合流しただけのおっさん。
恵美のこと何も知らないのに、イキナリそれはないだろう・・・。

相変わらずこのルートでは、恵美が素晴らしいひとだと描かれ続けています。

しかし恵美は、コンピューターを救おうと決め、生き残りとともにあかずの間へ。


だけど結局コンピューターの前へ来た恵美は
「私には救えないわ・・!」
・・・おい。
じゃあ何しに来たの・・・。

有能なんだかダメなんだかはっきりしてほしい。

そこへ現れる尾崎。(尾崎も犠牲者の一人だったけど生き残ったらしい)
コンピューターへの憎しみをこめて、ぶっ壊そうとしています。

それをとめる恵美。「コンピューターも犠牲者なのよ」
何で恵美は、あれだけ人殺しまくったコンピューターに対して感情移入しているのか。
いくら殺されたのが、今日あったばかりの縁もゆかりもない人たちだからって、ちょっとそれはどうなのか。

まあ、同じく生き残ったミルも、「このまま殺したら、こいつ生まれ変わることもできないじゃないか」と尾崎を止めるわけですが。(このセリフはちょっとよかった)

で、ミルの言葉に尾崎もちゅうちょするのですが・・・
恵美はセラピストなのに、誰のことも救えず。(尾崎を止めたのもミルの言葉)
それでいいのかこのルート。


さらにそこへやってきた、国家の秘密をばらされちゃこまる人たち。
恵美たちとコンピュータをまとめて始末しにきました。

絶体絶命のピンチ!
恵美はあろうことか、コンピューターに向けて
「あいつらがあなたをこんな風にした張本人よ」と、たきつけましたΣ(゜Д゜|||)

コンピューターはそいつらをぶっ殺し、恵美は「自分で仇を取ったのね」と、自分がけしかけたのを忘れたかのようにつぶやきます。

そのあとコンピューターは突然大人に進化したのか、自爆して終わりました。
そして恵美たちはこのことを公表するということにして、エンド。



なんだこのひどい話は・・・・・・・・。

スプラッタ的展開なのも気持ち悪くて嫌だけど、
最悪なのが恵美でした。

あれだけ素晴らしい優しい心の持ち主だ優秀なセラピストだとよいしょしておきながら、
肝心のコンピューターは救えない。
あげくコンピューターをけしかけて、自分たちの命を守る。

最悪です(>_<。)



・・・・一番まともだったのは、冒頭の操縦士のプロポーズを受けて、
二人「きれいな景色だね」とマンションに入りもせずに旅立っていくエンドだったかもしれません。(ある意味笑えました)

尾崎とのエンディングは、いわゆるバッドエンドの割に長めでうっとうしかったので。


最後に登場人物について。
一番よく描かれていたのは、ミルとラグーンだったかなと思いました。
キャラが立ってたと思います。
カツタミノル編でもコンピューター編でも目立った活躍をしてましたし。
割と彼らは好きなキャラでした。

逆に悲惨なのはどのルートでも必ず殺されるゆかり・・・。
ほんとに悲惨だ。

公平も実在編でのみ生きてますが、刺されてるし結構悲惨かもしれないですね。

あとまったくの無意味なのが、黒沼。
彼は何のためにいたのかさっぱりわかりません。


「やるんじゃなかった」という結論になったとはいえ、
完全クリアして、すっきりしました。
もう二度とプレイすることはないと思いますが、全部のストーリーを見たので満足はしました。

「あかずの間」これにて完結v(≧∇≦)v



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