カノンとF太郎の世界 十四代目ララ
その3


ネットとの出会いによって、これまでのイライラや憤りが一気に払拭されました。

とりわけNPCの性格改善方法、ひいては世界の荒廃を止める方法を知ったということは、何よりも大きかったです。


それこそが、『教育方針』というもの。


まず、私はそれまでのプレイで、

学校に通うと性格が悪くなる。

・・・という結論を導き出していました。


というのも、生まれたときに「いい子」だとして、三年後には学校に入学します。このときはまだ、大体「いい子」のままです。まれに入学前に「お花が好き」に落ちている子もいますが。
ところが、入学してからの三年間で、性格は激変します。
入学時「いい子」が、大人になるころには「遊びのリーダー」、最悪の場合「おちょうし者」になっているのです。

攻略本を見ると、「いい子」は消極的・勤勉・優しい性格。「おちょうし者」は積極的・怠惰・冷たい性格。全くの真逆です。
(「遊びのリーダー」は積極的・怠惰・優しい性格)
入学前の三年間では大して変わらないのに、入学してから卒業までの三年間で性格が真逆になる。
学校に通わない怠惰な子は、そのままの性格で大人になるので、学校に通うと性格が変わる(悪い方に)というのは確かのようです。

なぜかはわかりませんが、学校に通っていると、どんどん性格が悪くなっていくのです。
気が付くと積極カテゴリの性格に、怠惰カテゴリの性格に、冷たいカテゴリの性格に。
だから私は、性格を悪くしたくなくて学校をさぼっていたりしていたのです。

しかし、本当に不思議でした。
学校に毎日通って勉強している子がどんどん怠惰になる。
サボっている子はもともと怠惰な性格なので、通わないし、怠惰のままなのはわかるのですが、
大人の場合は仕事をすると勤勉カテゴリの性格に傾いていくので、当然子供は学校に通って授業を受ければ、勤勉度が上がるはず・・・
なのに、むしろ真面目に授業に出ている子ほど、怠惰に転がり落ちていく・・・。
一体なぜ?

・・・しかし、この矛盾は、不思議に思いはするものの、どうすることもできないまま、それを受け入れていくしかありませんでした。


まさかそれに、『教育方針』が関係していたなんて。


教育方針というのは、5日に行われる評議会で決めることのひとつで、
ナァムが提案し、議員の多数決で決定します。
他に「あいさつ」と「服の色」があります。

「あいさつ」と「服の色」は、直接目に見えるものなのでわかりやすかったのですが、「教育方針」についてはさっぱりでした。

「まじめに」「人に優しく」「活発に」「意地悪く」の4つから、ジマナァムが一つを提案します。
多数決で決まった方針になるようですが、これは目に見えないもの。
子供の教育に関することだというのはわかりますが、具体的に数値が変わるとは思っていませんでした。
だって、そんなこと攻略本に書いてないから。

攻略本には性格を変える行動についていくつか書いてあったので、書いてあること以外に性格に関わることがあるとは思っていなかったのです。
まして、そんな重要なことが書いてないはずはないと信じ込んでいたので><


しかも、「まじめに」で勤勉性が上がり、「人に優しく」で優しさが上がり、「活発に」で積極性が上がることはなんとなくわかると思うのですが、

事態はもっと深刻でした。

なんと、「まじめに」では勤勉性以外の要素が、「人に優しく」では優しさ以外の要素が、「活発に」では積極性以外の要素が、
下がるという悲劇的な設定だったのです。

信じがたいことですが、「まじめに」の教育方針の時に学校に通っていると、どんどん冷たくなるということです。
「人に優しく」の教育方針のときなら、どんどん怠惰になるということ。
「活発に」はもはや最悪です。どんどん積極的になる上、怠惰で冷たくなるということ。
めったに決定することはないですが、
「意地悪く」すべての要素がマイナスになる方針です。

また、恐ろしいことに、14日に行われるテストでは、正解すると積極性が100も上がるそうです。
不正解で100下がるということはないらしく、全問不正解はほぼありえないので、テストを受ければ確実に積極性が大幅アップするということです。
しかもさらに恐ろしいことに、怠惰で普段学校に通わない子も、テストだけは受けるのです。
つまり、消極的でどうにかとどまっていた子も、テストで積極的に転がり落ちる可能性があるということです。


こんなところでも、積極・怠惰・冷たい性格になりやすく作られていたわけです。
何と言う恐ろしい仕様・・・!!(゜ロ゜|||)


長く続けていると世界が荒廃していく・・・

それもそのはずでした。
ここまで、行動パターンにいちいち性格を悪くする要素が組み込まれていたのでは、逃れるすべはありません。
私のプレイ方法が悪いのかと思っていましたが、姉も同じ結果に陥り、ついにラムサラ地獄という道までたどったくらいですから、おそらくみんな同じ末路を迎えていたのでしょう。
このからくりに気付くまでは・・・。
(目に見えないものなので、気付く人がどれだけいたのやら・・・)



しかし、おそろしい事実が判明しましたが、
判明して本当によかったです.:*・。ヽ(´▽`)/。.:*・°

このままわけもわからず、荒廃した世界をイライラしながら過ごさなければいけないところでした。
ニルスやライン人生の感想を見ればわかる通り、心は荒みきっていました。


原因がわかれば、対処法もあります。

そう、つまり・・・教育方針を操作する、ということ。

議会でナァムの提唱する方針が可決されるにしろ、否決されて議長が決めるにしろ、決定した教育方針は一年間子供たちを縛ります。
目指す性格は消極的・勤勉・優しいカテゴリの「いい子」。
「活発に」だの「意地悪く」だの一回でも入れたら、そこにはたどり着けません。

では、「まじめに」か「人に優しく」ならどっちでもいいか、というと、これまたそうでもありません。
「まじめに」だと冷たくなり、「人に優しく」だと怠惰になるのです。
続ければ、超冷たい子か、そのうち怠惰で学校に来なくなってイムで成人してしまう子ばかりになるわけです。


つまり、非常に面倒くさいですが、
「まじめに」と「人に優しく」を交互に繰り返す
という方法が、一番いいということがわかりました。

それでも、学校に通う三年間を、
「まじめに」「人に優しく」「まじめに」で過ごすと冷たい寄りの勤勉な性格で成人、
「人に優しく」「まじめに」「人に優しく」で過ごすと、怠惰寄りの優しい性格で成人する子が多くなってしまうのは、もうどうしようもありません。
これ以上のことは望めません。
それでも、家族の応援などで学校をさぼる回数や、お弁当によっても、それぞれの数値の上り具合が変わるので、「まじめ」二年でも「信心深い」で成人してくれる子もいたりします。


そう、お弁当。

これもまた、知らなかったことの一つです。

今まで適当に持って学校に行ってたし、持たないで行っても特に何もないので、気にも留めていなかったお弁当。
まさかこれも、子供の性格に影響していたとは思いませんでした。

子供が授業を受けると、授業終了時(一時間ごと)にお弁当を食べます。
その瞬間、わずかずつスピード・スタミナ・スピリットが上がります。

スピード・スタミナ・スピリットのパラメータは、大人の場合、浜走り、湖泳ぎ、神殿祈りのほか、ショルグの訓練場で上げることができますが、
子供の場合はショルグの訓練場は使えないので、浜・湖・神殿のみです。
しかしそれ以外に、授業を受けることで上げることができるわけです。

そして、お弁当アイテムにはそれぞれ効果があり、アイテムの説明で見られますが、「スピード効果」「スタミナ効果」「スピリット効果」のいずれか、または複数の効果がついたものがあります。
そのため、授業終了時にお弁当アイテムを何も持っていなくてもわずかに上がりますが、お弁当を食べた方が上昇値が大きくなります。

スピード効果があるお弁当は、スピードが上がる・・・
スタミナ効果があるお弁当は、スタミナが上がる・・・
スピリット効果があるお弁当は、スピリットが上がる・・・

・・・それ以外の効果はないと思っていました。

そうです。何度も言ってますが、攻略本に書いてないから。

・・・ところが。

なんと、それらのアイテムは、普通の時に食べれば訓練効果しか発揮しませんが、
お弁当として子供が授業後に食べると、別の効果を発揮していたらしいのです。
そしてそれは、目には見えないパラメータだった・・・!!

スピード弁当は積極性スタミナ弁当は勤勉性スピリット弁当は優しさがアップ、そしてそれ以外の要素が下がる効果つき。

もし、毎時間同じ種類のお弁当を食べ、一日4回しっかり受けたとしたら、かなりの数値が加減されることとなり、性格に大きく影響します。
当然ながら、「活発」の方針でスピード弁当など食べていた日には、成人する頃には積極性MAX人間になってしまうかもしれません。
こんな重要なことまで、書いていないとは!!(つД`)。.:*・°


ネットにあふれる数々のサイトには、その細かい数値の増減までも公開されていました。
なんてすばらしいことでしょう。

とは言え、すべての生徒のお弁当までどうにかできる問題ではありません。
子供たちは、その家の倉庫から勝手に適当にいくつか持ち出して学校に行きます。
それを他人がどうこうできるわけがありません。
毎朝出向き、倉庫前に持たせたいお弁当を落として拾わせるなどするとしても、せいぜい一人です。同じ家の子なら、二人くらいは多少どうにかなりますが、その程度。

しかし、たとえ今現在、すべての生徒をどうにかできなかったとしても、のちのちの性格改善のためにはとても重要な情報でした。

世界を正しく導いてしまえば、怠惰な子はほとんどいなくなるので、お弁当まで気を回す必要はありません。
教育方針さえきちんと「まじめに」と「人に優しく」を交互に決めていれば、多少お弁当でマイナスの方向に進みかけても軌道は勝手に修正され、なんとか、消極・勤勉・優しいカテゴリで成人させることはできます。



今、この世界は完全に荒廃しています。


生まれる子はほとんどがおちょうし者かワルガキか遊びのリーダー。
消極・勤勉・優しい人など見当たりません。
この荒れきった世界を、正しく導く・・・
それは気の遠くなる作業。


しかし、まずは一歩。

まったくどうにもならなかったこの世界を、まともにする手段を得た。
それだけで大きな一歩です。


そしてこれから・・・



私の、世界を改善する超巨大プロジェクトが始まったのです。



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