ズッコケ愛の動物記(シリーズ第三十二巻)

 那須正幹作 前川かずお(亡くなられるまで) 高橋信也(それ以降作画として)画  ポプラ社


あらすじ
ある日捨て犬を拾ったモーちゃんは、家では飼えないので飼い主になってくれる人を探すことにしました。

しかしすぐには見つからず、その間ハチベエが近くの廃工場跡で飼うことを提案します。

飼い主を見つけようとポスターをつくったり周りに聞いたりしつつも、慣れてきた子犬を手放したくないと思い始める三人。

やがて三人の子犬飼育を知っている学校の後輩や同級生が、自分の家で飼えなくなった動物をここで飼い始め、小さな飼育園のような雰囲気になっていきます。

しかし動物の世話は、ずっとしなければならないもの。
いつまでもみんなで分担して飼育できるわけでもなく・・・。



感想
かわいい動物に癒されるお話、といいたいところですが、人間たちの勝手な理屈に振り回されるかわいそうな動物、
という雰囲気を感じてしまってちょっと切なくなりました。

そもそも捨て犬を拾っちゃったモーちゃんだって、家で飼えないのに拾い上げたものだから、犬にしてみれば助かったと思って必死についてきちゃいます。
でも、見て見ぬふりをすればよかったのに、とはやっぱり言えない。なんとももやもやします。

たまたま廃工場跡で飼えたから、わんちゃんも、安藤圭子のリスザルも、田代信彦の鶏もとりあえず捨てずにすんだけど、それはただラッキーだっただけです。

だけど動物を飼いたいって気持ちは、動物が好きなら持つ感情なので、それがいけないってことでもない・・。

私は読んでいる間ずっと、この動物たちがどうなっていくのかが心配でした。
だってこのままずっとここで飼えるわけないんだから、と。

田代君のピーくんのエピソードは、とてもよかったです。
ハカセやモーちゃんと同じようになんだか感動して、安心しました。

ここに出てくる子たちはみんな、無責任ではなかったので、動物たちの行く末も一応一安心。
終わり方の雰囲気が優しくて、なんだかんだ言いつつも結構癒されてたような気がします。


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