ズッコケ三人組の大運動会(シリーズ第二十七巻)
那須正幹作 前川かずお(亡くなられるまで) 高橋信也(それ以降作画として)画 ポプラ社
あらすじ
秋も深まり、花山第二小学校の運動会が近づいてきました。運動が大得意なハチベエは、今年もその日を楽しみにしていましたが、
四組に転校してきた宮下努という少年がものすごく足が速かったため、ライバル心を燃やします。どうやら努には、陸上の選手である兄貴がいて、毎朝トレーニングを積んでいるらしい。
そんな情報を得ると早速トレーニングをのぞきにいき、同じトレーニングを開始。
運動会へ向けて猛特訓です。一方、運動会にはやる気がないハカセとモーちゃんでしたが、
ハチベエのやる気を見て、ちょっと頑張ってみようかと思い始めます。ところが努はトレーニングをのぞきにきていた三人のことに気づいていました。
そして『兄貴をスパイしに来た』と勘違いし、恨まれてしまいます。モーちゃんはなぐられ、ハチベエは運動会で仇をとることを心に誓いましたが、
練習中努がけがをしてしまい・・・。
感想
運動会といえば、ハチベエの輝くときですね!ライバル登場に焦るハチベエがちょっとかわいかったです。
競争みたいになって、努と一緒にグラウンドに倒れこんだ初対面。
そのあとで努の情報を必死に集め、トレーニングのことを突き止めたあと。『かんがえてみればあっちは目いっぱいトレーニングして、あの程度。こっちはトレーニングなし、もって生まれた体力と運動神経のみであれだけ走れたのだからたいしたものではないか』のくだりに笑いました。
努は背も小っちゃくて、目つきもちょっと悪くて、けんかっ早くて、運動神経がいい・・・。
ハチベエと似てるので、実は結構仲良くなれそうですね。そして努がどうしてあんなに攻撃的なのか、必死なのかが後半に判明して、胸が痛くなりました。
お互い相手を思ったら、何も言えないですよね。それでも最後は何か吹っ切れたのならいいな、いつか吹っ切れるといいな、と思いました。
ハチベエと一緒にトレーニングをしていたら少しずつ変わっていけるかもしれません。今回は、全編を通してさわやかなスポーツ精神を感じられたため、読むとすがすがしくて気持ちがいいお話でした。