ズッコケTV本番中(シリーズ第二十二巻)
那須正幹作 前川かずお(亡くなられるまで) 高橋信也(それ以降作画として)画 ポプラ社
あらすじ
春、委員会を決めることになりました。
モーちゃんは、余っていた放送委員になってしまいます。
カメラの一台を任されることになったのですが、初めてのモーちゃんの撮った画像はひどいものでした。モーちゃんの特訓をしてあげようと思うハチベエとハカセは、さっそく特訓を開始。
家にビデオカメラがあるハカセは少しカメラができるので、指導役となって、最初はハチベエを撮ることから練習し、
そのうちに花山町駅前で一般の人に『花山町から連想すること』をインタビューする、というビデオを作成しました。練習の甲斐があって、モーちゃんのカメラも上達します。
しかし放送委員の藤井里香が三人の素人ビデオをバカにしてきたので、
ハカセは闘争心を燃やし、三人でビデオ番組を撮ろうと提案します。
この頃、花山町では放火魔が出没していました。
そこでビデオも、『放火魔を追う』という番組にすることが決まります。一方モーちゃんは、委員会の後輩、池本浩美から、ビデオ作りに参加させてほしいと頼まれます。
そしてビデオ作りがはじまりました。
しかし、毎日やることが多くないハチベエ、ハカセはともかく、モーちゃんや浩美は放送委員の仕事が忙しくなっていました。
そこで五年生の浩美は、放送委員をサボって、ビデオ作りの方に来てしまいます。しかしハチベエがうっかりそのことを藤井里香にもらしたために、
浩美は委員のみんなから責められ、モーちゃんはそれに激怒します。ハチベエも謝るに謝れず、ムードは非常に険悪になってしまいました・・・。
感想
これはとっても悲しかったです・・・。
何しろ、あのモーちゃんが怒ってるんですから。
三人の仲良さそうな姿が何よりも好きな私にとって、読んでいてつらい話でした。早く仲直りしてほしいと願いながら読んでましたが、全然それもかなわず・・・。
しかし、根本的なその部分は悲しかったのですが、それ以外はいつもどおり面白かったです。
放送委員の様々な活動や、ビデオの撮り方。
モーちゃんの目覚しい上達も、人事ながら、非常に嬉しかったです。また、放火魔を追いかけるというビデオ番組。
テレビ番組のようなインタビューをしたり、編集したり、本物の刑事に逆に聞かれたり・・・
とてもワクワクしました。そしてもちろん、放火魔のゆくえも。
もともとは、モーちゃんの上達のためにビデオ番組をつくるようなものだったのに、
その目的をすっかり忘れて、ハマってしまうハチベエやハカセが面白いです。そして今回は、モーちゃんが非常に男らしくカッコよく見えました。
いつも派手なハチベエや、博識のハカセの影に隠れがちなモーちゃんですが、
ただ優しく笑っているだけじゃないという、芯の強さを見られました。