そして五人がいなくなる(シリーズ第一巻)
はやみねかおる作 村田四郎画 講談社 青い鳥文庫
あらすじ
三姉妹、亜衣、真衣、美衣の隣の家に、ある日誰かが引っ越してきました。
早速調査をしにいくと、彼は自分で「名探偵、夢水清士郎だ」と名乗ります。
何だかぬぼ〜っとしていて、まったく頼りにならなそうな人ですが、それでも
姉妹たちは「教授」と呼んで親しくなります。そして夏休み、教授と一緒に、出来たばかりのアミューズメントパークに行くことにした三人。
しかしそこで、事件が発生します。手品の舞台で、何と小学生の女の子が「伯爵」と名乗る人物によって、
連れ去られてしまったのです・・・。
事件が起こって、盛り上がった教授は無理やり捜査に加わります。
少女はどうやって消えてしまったのか?
見た限り、タネは見破れませんでしたが、教授には何かがわかったようです。そして連れ去られた少女は、天才ピアニストとして新聞にも載ったことがある女の子で、
ともに紹介されている、三人の天才児たちが次に狙われていることがわかりました。そして三人の天才児たちは、同じ日に、アミューズメントパークに行くことになっていたのです。
そこで、警部と教授、そして、亜衣、真衣、美衣は協力して、三人を守ることにしました。
しかし・・・
ありえないことが亜衣たちの目の前で次々に起こります。きっちりマークしていたはずの三人が、
気がついたら次々に姿を消し・・・。そして、伯爵の高笑いが・・・。
いったい伯爵はどうやって、子供たちをさらったのか?
そして、伯爵の目的は?
子供たちはどこに行ってしまったのか?名探偵、夢水清士郎の推理が始まります。
感想
この作品は、子供たち向けの推理モノということで、
読みやすい文体なため、物語に入っていきやすいところが嬉しいです。そして、亜衣、真衣、美衣の三姉妹がイイですね。
特にそれぞれが主人公になって、行動している部分が面白いです。
(ほとんどのところは、亜衣が主人公なのですが。)教授の性格は、まったくの子供で、あまり誉められたものではありません。
忘れっぽくて、いじきたなくて、わがままで、偉そうで・・・
探偵だからか、犯罪をごちそうのように思っています。
警察にとっては果てしなくムカつく存在でしょう。でも真実を見抜く目はさすがなもので、 さらに、その目には優しさが宿っています。
そんな教授のことを、あきれながらも懐いている亜衣たちの気持ちが
わかるような気がします。
今回の犯人である「伯爵」は、独自の美学を持っていて、
それが他人と激しくずれているところが教授にそっくりです。
つまりいい勝負といえるのではないでしょうか。そして読み終わると、何となく暖かな気持ちになれる・・ そんなストーリーのつくりが、私はとっても大好きです。