魔女の隠れ里
はやみねかおる作 村田四郎画 講談社 青い鳥文庫
あらすじ
あるとき亜衣、真衣、美衣たち三姉妹の隣に住む『名探偵・夢水清志郎』のもとに、一人の記者が訪ねてきました。どうやら名探偵の噂はそれなりに広まっており、名探偵がいろいろな謎を解明するシリーズを始めたいということです。
出不精な教授のおともとして、三姉妹もついて行けることになり『謎紀行』は始まります。
教授(亜衣たちがつけた夢水清志郎のあだ名)の推理によって簡単に解決した雪藪の神隠しの謎。
しかしそれは前哨戦にすぎませんでした。
桜に覆われた過疎の村、笙野里(しょうののさと)で起きた「魔女」による推理ゲーム。
教授と亜衣たちを巻き込み、魔女は名探偵に挑戦してきたのです。
これから起きる殺人事件の謎を解き明かしてみせよ、と。
参加人数は11人。送られてきた11体のマネキン人形。
「あなたたちなら、死体をどこへ隠すか?」
魔女の問いかけ。
いったい、魔女は誰なのか?
魔女の真の目的は?
静かで不思議な桜の中で、名探偵による謎解きが始まる。
感想
今回は一冊の本の中に、いくつかのお話が入っている形です。雪藪の神隠しの事件、三姉妹の母である羽衣の小さな謎、笙野里の魔女事件。
メインは魔女のお話ですが、なぜそれだけにしなかったのかといえば
新キャラとなる記者の伊東さんをなじませるためだったんでしょう。
今回はもう一つのテーマとして、自然の怖さがよく描かれていた話だったと思います。
豪雪地帯の恐ろしさ、そこで起きる悲劇。
人を必要としない自然の世界。
ミステリーの舞台として、ロマンがあるというかぞくぞくする雰囲気がよく出ていました。
今回の事件も、教授はあっという間に解いてしまいますが、明かすのはいつものごとく最後。
でも今回ばかりは、待つことにかなりの危険が伴う話だったのではないかと思います。それでも教授は待った。
それはきっと、教授にすべてを解き明かしてもらおうとした魔女への
教授の優しさだったんだろうなと感じました。
そして、最後に桜が人になった?というのが怖かったです。
今回はとても幻想的で、普通にあるはずがないことが起きたりしたので、
何が起きてもおかしくない雰囲気でした。