クリスマス・ボックス(シリーズ第一巻)
リチャード・P・エヴァンズ作 笹野洋子訳 講談社
あらすじ
主人公のリチャード・エヴァンズとその妻のケリー、そして娘のジェナ一家は、クリスマスの少し前に、大きなお屋敷へ引っ越しました。
お屋敷に住むメアリーアンという老婦人が、住み込みのお手伝いを求めていたのです。
引越しの準備で自分の持ち物を屋根裏に運んだとき、リチャードは、ほこりをかぶったゆりかごと、とても立派なクリスマスボックスを見つけます。
クリスマスボックスとは、クリスマスのものをしまっておく箱です。しかし、ゆすっても、中には何も入っていないようです。
メアリーアンと主人公一家は、親しくなりました。
しかし、新しい事業を始めたばかりのリチャードは忙しくて、あまりジェナにかまってあげられません。そんなある夜、屋敷へ来てから何度か見た、天使の夢のあと、ふと目がさめたリチャードは、音楽が鳴っていることに気が付いてそこへ行ってみました。
すると、あのクリスマスボックスから音が鳴っているのです。
ふたを動かすと音はやみ、中には数枚の手紙が入っていました。
それから少しして、メアリーアンの命が残り少ないことがわかります。
そして、メアリーアンから、不思議な問いを投げかけられるリチャード。
それは、「クリスマスの最初の贈り物は何だかわかる?」というものでした。
答えられないリチャードに、これはとても大切なことだと怒るメアリーアン。
妻のケリーもわからないと言いますが、と同時に、
メアリーアンが何かを隠している気がする、
そして、あなたに何かを伝えたがっている、と言うのでした・・・。
その後、メアリーアンの状態が悪化、入院することになってしまいました。
そして、イヴの日、メアリーアンを昔から知っている、スティーヴという青年に、メアリーアンの秘密を教えてもらったリチャードは、ようやくすべてを理解したのです。
あの不思議な出来事。
クリスマスボックスに入っていた手紙の謎。
メアリーアンが、自分に言いたかったこと。
クリスマスの最初の贈り物が何なのか・・・。
そしてそれは、リチャードにとって、ものすごく大切なことだったのです。
見舞いに行ったリチャードに、メアリーアンは優しく微笑みます。
「わかったのね?そうでしょう?」
メアリーアンに、とても大切で、忘れてはならないことを教えてもらったリチャード。
そのとき、また聞こえてきたのです。
クリスマスボックスの音楽が・・・。
感想
とても優しくて、暖かい物語です。これはプレゼントにもらったのですが、とっても素敵なものをありがとう!!という感じです。
とにかく、感動します。
静かで、緩やかに時が流れていくのですが、その中にいくつも大切なことがちりばめられている感じがします。
これは初めて読んだときは、大好きなメアリーアンが・・・という気持ちでいっぱいで、あまり他のことは深く考えていませんでしたが、
何度も読むうちに、すごく心が満たされる、何だか幸せな気持ちになれる、そういうお話になりました。
もちろん悲しいのに変わりはありませんが、
大切なことに気が付いたリチャードに、純粋に感動してしまうのです。
クリスマス以外に読むとクリスマス気分が味わえ、
クリスマス間近に読むと、クリスマスの楽しみがより一層広がるような気がします。
とにかく、いいです・・・。
アメリカでベストセラーになったらしいですが、それもうなずけます!