ハリー・ポッターと謎のプリンス(第六巻)
J.K.ローリング作 松岡佑子訳 ダン.シュレシンジャー画 静山社
あらすじ
シリーズ第六巻目です。ハリーは休み中にダンブルドアと、新しい先生の勧誘に行くことになりました。
スラグホーンというその人は、もとはスリザリン寮の寮監ですがヴォルデモート側ではありません。将来有望そうな生徒をとりまきにして、様々なコネをつくって快適な生活を送るのが彼の生きがいのようで、ハリーも早速彼の「お気に入りの生徒」にならされます。
学校が始まり、新しい学科ではOWL(ふくろう)試験で、ある一定の結果を出せた生徒しか進めないというシステムになっています。
そのため魔法薬の授業は取らないだろう(天敵スネイプの科目で、相当いい成績の生徒にしか継続を許していない)ハリーとロンは、魔法薬の教科書その他を買いませんでした。しかしスラグホーンが魔法薬の先生だとわかり、二人ともお古の教科書で参加することになります。
そしてハリーが貸してもらったその本は、素晴らしい魔法薬の才能がある生徒が残したものらしく、まったく違うやり方のメモがいたるところに書かれ、教科書よりも完璧な魔法薬を作れるのです。
そのメモの通りに薬を作っていたら、たちまちハリーは魔法薬が得意な生徒と思われるようになってしまいました。
そして通常の授業とは別に、ハリーはダンブルドアから秘密の授業を受けることになります。
内容はヴォルデモートの過去を知ることです。今までに何度か入ったことのある、不思議な記憶の水盆で、ハリーはヴォルデモートの背景を知っていくことになりました。
前年に、ある「予言」を聞いてから、ヴォルデモートとハリーの対決は時間の問題です。
一番大切な授業といえるでしょう・・・。何度かの授業のあとダンブルドアから出された宿題は、 スラグホーンからある過去の記憶を取り出してほしい、というものでした。
しかしその課題の他にも、ハリーにはたくさんの悩みがありました。
クィディッチの新キャプテンに選ばれたこと。
ハリーの恋。
ロンとハーマイオニーの決裂。
さらには非常に怪しい行動を取るマルフォイとスネイプ・・・。
そして様々な悩みにさまよいながら、ようやく課題を達成したハリーの目の前には、
さらなる大きな試練が待ち受けていたのです・・・。
感想
今回のハリーも、毎度のことながらとっても忙しいです。
クィディッチのキャプテンになったことで、メンバーを選抜したりまとめたりするのに加え、恋がからんでとっても大変になっています。そんなハリーの恋についてはもうひたすら応援です。
いつものごとくハリーに同化している私なので、非常にやきもきさせられました。ハリーはロンと違って、自分の気持ちをはっきりと自覚しているし行動力もあるし、
ぱぱっとうまくいきそうに思えるのに、いつもタイミングが悪いのです。逆にロンは子供っぽくて、自分の恋には非常にうとい。
鈍くて素直じゃなくて、見当違いの方向へ突き進んでいきます。
ロンのことは大好きですが、ちょっと今回はさすがにいろいろと呆れてしまいました・・。ハーマイオニーはハーマイオニーで、ハリーがいわばカンニングをして成績がいい、魔法薬の授業を面白く思わず、そのことで何度もハリーと言い争いをします。
彼女は自分よりもできるその本の持ち主が許せないし、ハリーにそんなことで負けるのも許せないわけです。毎回なんらかのケンカをする三人ですが、それでも三人は親友同士。
ハリーの身に降りかかった災難を、幾度も一緒に超えてきました。そして今回も、ハリーからある重大な秘密を打ち明けられた二人は・・・
それでも、ハリーのそばにいてくれるのです。いろいろなことはあるけれど、ロンやハーマイオニーはハリーにとってなくてはならない大切な存在です。(私も大好きです)
そして今回・・・とっても悲しい出来事が起こります。
そしてこれからどうなっていくのか・・・とても心配です。
けれどもハリーの側に二人がいれば、大変でも少しだけは安心します。いよいよ次巻は、最終巻となります。
どうなるのか、緊張も最高潮ですが・・・
ハッピーエンドであるよう、願っています。