ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(シリーズ第五巻 上下巻)

 J・K・ローリング作 松岡佑子訳 ダン・シュレシンジャー画  静山社


あらすじ
ハリー・ポッターシリーズの五冊めです。

夏休み、魔法界から完全に切り離されていたハリーはイライラしながら毎日を過ごしていました。
ロンやハーマイオニーは一緒にいるらしいのに(手紙でわかる)、自分のことは無視されている・・・。
そんなイライラの中、ハリーは突然吸魂鬼に襲われます。

何とか守護霊で追い払ったものの、その後ハリーは「未成年法違反」によって、裁判を受ける羽目に陥ります。
未成年の魔法使いが、外で魔法を使用するのは禁じられているのです。


そしてハリーは、裁判までの日々、『不死鳥の騎士団』の秘密本部で過ごすことになり、ロンやハーマイオニーたちと再会します。
不死鳥の騎士団は、ヴォルデモートに対抗する闇祓いたちの組織です。

そこでハリーは、ヴォルデモートが今「武器」を欲していることを知りました。
そしてそれを、騎士団メンバーが何とか阻止しようとしていることも。
ロンたちは、今やどこでも危険になっているので、本部で守られていたのでした。


その後裁判で、ハリーは魔法省のアンブリッジという女と出会います。
その瞬間からものすごく感じの悪い女でしたが、今までハリーに親切だった魔法大臣ファッジや、ロンの兄パーシーの態度の冷たさに、ハリーは魔法省にとって、目障りなのだとわかります。


そして、少し前から何度も見る夢もまた、ハリーを悩ませます。
ある場所に入りたくて、どうしても入ることが出来ない苛立ち。
それが、ヴォルデモートに関係があることは明白です。

ヴォルデモートが何をしようとしているのか知りたくてたまらないハリー。

しかし、それは危険だからと、何とハリーは心を閉じるために、スネイプ先生から『閉心術』を学ぶようにと、ダンブルドアに言われてしまうのです。

天敵のスネイプと二人きりで。
それはハリーにとって、最悪の状況でした。


そしてそんな努力をあざ笑うかのように、夢を頻繁に見てしまうハリー。
さらにそんなある夜、自分自身が蛇となって、人を襲う夢を見たのです。
それも、襲った人物は、ハリーがとてもよく知っている人でした・・・。


感想
今回は、魔法省との闘いが、前半に主に書かれています。
まったく信じてもらえず、目の敵にされるハリーの苛立ち。

今回のハリーは、最初に、自分だけ魔法界から完全に切り離されていたことで、
ロンやハーマイオニーにも当り散らします。
何も出来ない、何かが出来るはずなのに、どうして自分だけほっておかれるのか。
そのかんしゃくは、新聞をみんなが信じて、自分を変人扱いしたときも、
アンブリッジに対しても、爆発します。

ロンやハーマイオニーは、そんなハリーの態度に困ってしまっているようですが、
ハリーもやっぱり普通の男の子。
そりゃたまには爆発してしまうでしょう。
滅多に爆発しないハリーだけに、今回はとにかくハラハラしました。
私の気分も、ハリーとまったく同じではあったのですが、我慢できないばかりに
どんどんハリーが窮地に追い込まれていくのは辛かったです・・・。


今回、ハリーの恋愛が進展します。
といっても、女の子にはまったく詳しくないハリー。
いったいどうなってしまうのか、と興味津々でした。


後半は、沈黙を守っていた、といっても影でうごめいていた、
ヴォルデモート一味との闘いが待っています。

今回は、ロン、ハーマイオニーはもちろんのこと、
ジニー(ロンの妹)、ネビル(グリフィンドールの同級生。かなりのドジ)、ルーナ(レイブンクローの女の子。かなりの変人)の活躍も目覚しいです。
彼らはこの先も活躍?してくれます。


そして・・・この話でも、悲しい出来事は起こります。
ハリーの心と同調している私にとっては・・・言う言葉がありません。

楽しいだけの物語ではないですが、
私はハリー・ポッターシリーズが大好きです。
勇気や、希望や、努力・・・
そこには私の大好きな、優しい世界が広がっています。

ちなみに、私は読むまで、タイトルの『不死鳥の騎士団』というのは、新しい敵の名称かと思っていました。
実際は、ヴォルデモートに対する闇祓いたちのことで、つまり正義の味方だったのです。
ものすごい勘違いでした・・・。
不死鳥というのは、ダンブルドアの飼っている不死鳥フォークスからきているようですね。
それを知るまで、ゾンビのような軍団かと勘違いしていました・・・(汗)



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