輝け!いのちの詩

 水内喜久雄 編著 いわさきちひろ(表紙の絵)  小学館


あらすじ
小学校の先生である水内喜久雄さんが、子供たちに向けてのメッセージを、
52人の詩人や、その他の人々に依頼して出来上がった
『子供たちに向けての詩』がいっぱい詰まった詩集です。

この本には、依頼した方たちの詩集から選ばれた詩がたくさん載っていて、
本当に大好きなものばかりです。

ここではこの本のために書き下ろしてくださった詩の中から、
私が好きなものを一つあげてみたいと思います。

『楽へ(抄)』     中川肇(作詩)

初孫

やっときみに会えた
やっとおじいちゃんになれた

まず きみがいくつのときまで
いっしょにいられるかなと思う
次に この星はだいじょうぶかな
空気は?水は?緑は? と

小さなやわらかい指をにぎって
一方的なげんまんをする
終わりに近いじいも
始まったばかりのきみも
命をきちんと全うしようね と


名まえ

新しい花や木を見つけ
ふさわしい名まえをつけたヒトは
みんなすごい 生みの親
だから きみを初めて見つけて
楽(がく)という名まえをつけてくれたヒト
きみの父さん母さんもすごい

庭のコスモスの一本一本にも
菜の花畑の花一つ一つにも
ふさわしい名まえをつけたいと
考え続けているすごいヒトもいる
ニンゲン畑に咲いた一つの花
きみに 今日 名まえがついた


きみとぼく

月も星だと
太陽も星だと
地球も星だと
きみが本当にわかるのは
いつだろう

あの子も人だと
この子も人だと
自分と同じ人だと
きみが本当にわかるのは
いつだろう

虫も生きものだと
草も生きものだと
自分と同じ生きものだと
きみが本当にわかるまで
ぼくは生きたい



感想
私は子供の頃から教科書の詩のページが大好きで、習う前に読破して、わくわくしながら習うのを楽しみにしているような子供でした。
古文の詩は苦手だったのですが(笑)

優しい日本語(現代語)で書かれた詩は、さすが教科書に載るだけあって、
子供たちの感受性を育てるのにいいような詩がたくさんあったように思います。
私にとってこの本は、そんな頃を思い出すようでした。

表紙のタイトルといい、教科書でおなじみのいわさきちひろさんのイラストといい、
ほとんど一目ぼれ状態で購入しましたが、本当に買ってよかったと思います。

詩はもちろん素敵なものばかりで、きちんとその詩が載っている詩集なども書いてあるので、
読んでみたい詩集が増えました。

書き下ろしでないもので、一番好きなのは漫画家のみつはしちかこさんが書いた
「小さな恋の物語」(漫画)からの「あなたはひかり」という詩です。
誰かからありのままの自分を受け入れてもらえるという、素晴らしい喜びを感じられるとっても素敵な詩です。

あらすじで書いた詩は、おじいちゃんの孫への優しい愛情が素直に伝わってきて、
読むと涙があふれてきてしまいます。

タイトルどおり、希望にあふれた『いのちの詩』がたくさん入っている本です。
52人の詩人やその他の人たちの、子供たちに向けての優しい心もたくさん詰まっています。
そしてそれだけではなくて、編著をしている水内喜久雄さんの、子供たちへの愛情も感じることができるので、
まさに愛に包まれた詩集という感じです・・・。
子供だけじゃなくて、大人も読んで楽しめる詩集だと思います。



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