ママのクリスマス
ジェームズ・ヤッフェ作 神納照子訳 東京創元社
あらすじ
元刑事、今は公選弁護人として働くデイヴには、話を聞いているだけで難事件を解決してしまう頭のいいママがいる。とあるクリスマスシーズン、隣人トラブルに巻き込まれた夫妻の息子ロジャーの暴行事件を弁護することになったデイヴ達は、
なんとか事態を好転させようと動き回る。しかしキリスト教徒だらけのこの町では、ロジャー達ユダヤ教徒の肩身は狭く
ついに起こった殺人事件で、ロジャーは容疑者となってしまう。行方不明のロジャーはどこに?
現場に残されたダイイングメッセージの謎は?
はたしてママは、この事件を解き明かせるのか?
感想
シリーズものらしいですが、私はこの作品が初めてです。宗教観というのは、無宗教である私にはちょっと難しくて理解しにくいですが
キリスト教徒とユダヤ教徒にとっては、クリスマスってただのイベントじゃないんだろうなと思いました。しかしトラブルに巻き込まれた青年、ロジャーは不思議なところがありますね。
窮地に追い込まれているのに、刑事や探偵に興味があるから公選弁護人事務所でアルバイトしたいと言ってくる。
能天気というか、豪胆というか、天然というか、思わず笑ってしまいました。
ママも同じユダヤ人だからか好意的で、全体的に「ロジャーを助けたい」という雰囲気で進んでいくため、軸がぶれずに読みやすいです。
そしてとにかくダイイングメッセージが面白い。
ママのプライドの高さに苦笑してしまう部分もありますが、後味も悪くなくてすっきりした話だと思います。