ルイーゼの星

 カーレン‐スーザン・フェッセル作 オルセン昌子訳  求龍堂


あらすじ
ママをガンで亡くしたルイーゼと、パパ、弟のルーベンは、生前ママが言っていたように、 ママは星になって自分たちを見守ってくれているのだと信じます。

そして、ルイーゼは振り返ります。

ママが病気になってから、死ぬまでのことを・・・。


ママが病気になったときは、まだ全然健康で、すぐに治るような感じでした。
ルイーゼも、パパやママのセリフを素直に信じて待っていました。

けれども、幸せは長くは続きませんでした。


ママは再び疲れやすくなり、ガンが転移していたことがわかります。
周囲の大人は、ルイーゼにはあまり詳しいことを話してくれませんが、
たった一人、ママの友達のヤンニだけは、ルイーゼの質問にきちんと答えてくれます。

例えば、ママの病気のこと。

治ったと言っていたのに、どうしてまたママは病気になったのか。

ママは治るのかどうか。


そして、ママが治るように一生懸命お祈りすることが、大切だとも言いました。
ママが頑張る力を持てるように、みんなで元気になるように願うことが、自分たちにできる 大切なことなのだと・・・。


やがて、ルイーゼが何度も質問を重ねるうちに、
ママも病気のことをいろいろ話してくれるようになります。

それは、決して希望のある内容ではありませんでしたが、
何も教えてもらえなかったときよりも、不安は少しだけ軽くなるのでした。


けれども、どんどん具合が悪くなっていくママ。
お酒を飲んで、一人で苦しむパパ。
まだ幼い弟も、だんだんとママの病気を理解しているようです。

そんな中、パパやルイーゼの心の支えになってくれたのはやはりヤンニでした。
ヤンニと「死ぬ」ということについて考えるルイーゼ。

そして、ママと約束します。

もし本当に、死ぬことが自分でわかったら、そのときはきちんと
ルイーゼに教えるから、と。
そうしたら、お別れの準備ができるから、と・・・。


ママは、ずっと頑張っていました。
そして、笑うと力がわいてくるから、とよく笑っていました。


「生きるっていうことはいいものよ、ルイーゼ」

死ぬ少し前に、ママはそう言って笑いました。

「なにからなにまで、すごく悲しくて気が滅入ることばかりに思えて、
泣かなくちゃならなくても、痛いところがあってもね。
生きていれば、いいことや楽しいことがとてもいっぱいあるのよ。
このこと、絶対に忘れないでね」


そしてママは、ルイーゼに、そのときが来たことを告げたのです・・・。



感想
「生きるってなんだろう」
「死ぬってどういうことだろう」

そういうことを、深く考えさせてくれる作品だと思います。

きっと治ると信じて、頑張ったママの姿は、とても感動的です。
また自分たちには何もできないという状況の中、必死に生きる家族みんなの姿も、見ているととても辛かったけれどやっぱり感動します。
そして家族を支えたヤンニの存在に、私の心も救われました。

病気のお話ですが、視点がルイーゼなので、少し柔らかい文体で読みやすいと思います。



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