十角館の殺人<新装改訂版>
綾辻行人 講談社
あらすじ
犯人の独白ーー殺人の決意ーーから始まる。『罪深き獲物たちが、罠に飛び込んでくる。
何の疑いも恐れも抱かずに、自分たちを捕らえ裁く、その十角形の罠の中へ・・・』『彼らを待ち受けるものは、もちろん死だ。
それが、彼らのすべてに対して例外なく科されるべき当然の罰なのだ』犯人の心を知るのは、ただ深い闇の海だけだった・・・。
春、とある大学のミステリ研究会メンバーたちは、合宿のつもりで孤島へやってきた。
この島に住んでいた変わり者の建築家が建てたという『十角館』は、それだけでミステリアスだったが、
彼らの好奇心を掻き立てたのは、半年前にこの孤島で起きた悲惨な殺人事件である。結局犯人が捕まらないまま全焼したもう一つの館は、跡地しか残っていないが、
彼らの想像力を高めるには絶好の場所だった。
しかし、彼らは知らなかった。
その事件が、自分たちと結びついていることを。そして自分たちが犯した罪によって・・・これから殺されるのだということも。
一方、ミステリ研究会を退会していた大学生のもとに、不審な手紙が届く。
半年前の孤島の事件で死んだはずの人物からーーー
『お前たちが殺した千織は、私の娘だった』中村千織・・・
彼女も以前、同じミステリ研究会に所属していた。
一人、また一人、裁かれていく孤島の彼らと、
半年前の事件を追いかける孤島の外の動き。犯人は、死んだはずの人物なのか?
半年前の事件を調べるうち、ひとつの事実が浮かび上がってくる・・・。
感想
クローズドサークルものはミステリーの定番で、なんといってもアガサクリスティの『そして誰もいなくなった』が有名でしょう。この作品は、それにならった形式で殺人をすることを犯人が決めており、そこに強い『裁き』が込められているようです。
大変面白かったです・・・!
孤島で連続殺人事件というと、混乱と恐怖で読んでいる私も苦しくなりそうですが、
そんな状況下でも冷静な大学生が孤島にいて、
なんだかんだとパニックの中のひとときの平静を守れているので読みやすい。また、孤島の外で事件を調べているため、中の彼らが知らない情報を知ることができて整理しやすく、
事件が起きているわけではないので、ひとときの息抜きもできます。
といっても、最初は混乱しました。
彼らはあだ名で呼び合っており、外国名なのでなかなか区別がつきにくかったことと、最後まで外国人のイメージが勝手に頭に浮かんでしまっていました。
そしてこんなに悲惨な話なのに、最後らへんに思わず笑ってしまうような状況になったのがすごかったです。
・・・笑ってる場合ではないんですけど。
十角館自体の不思議さも含め、多くの伏線が張られていて、とても読みごたえがありました。
犯人の心理も細かく書かれていて、同情したり、それでもちょっとひどいなと思ったり、
ラストのもの悲しさまで含めてすごく満足しました。