クリスマスの奇跡

 キャスリーン・メドウス 宇佐和通作  Gakken


あらすじ
これは、クリスマスに起こった奇跡のお話をいくつか集めた物語で、
全部実話だそうです。


この中で、私が特に好きな話をいくつかあげてみます。
内容を絶対知りたくない〜という方は、感想へ(^^)


「第2章 四枚のチケット」

アメリカのニューヨークに住む夫婦、ジェリーとハンナは結婚40周年です。第二次世界大戦時代に、ポーランドから移民してきたジェリーと、リトアニアから移民してきたハンナ。

つつましく堅実な家庭を築き上げた二人は、子供たちも独立した今、日ごろの感謝をこめて何か特別なプレゼントを贈ろうと、お互い考えます。


二人とも、アメリカに来てからまだ一度も祖国へ帰っていません。


そこでジェリーはハンナのために、リトアニア行きのチケットを、
ハンナはジェリーのために、ポーランド行きのチケットを、
相手に内緒で用意したのです。


それは思いあう二人ならではの、素敵な奇跡でした・・・。



「第5章 25年目のイブ」

ジョシュアとメアリーは、たまたま入ったショッピングモールで、一目ぼれ同士のカップルです。
話してわかったことですが、二人は同い年で、クリスマスイブが誕生日でした。

そして交際を始めた二人は、やがて結婚の約束をします。
お互いの両親にも認められ、家に行き来するようになったある日のこと。


たまたまジョシュアの母親が見せた、ジョシュアが生まれたばかりの時の写真。
それを見たメアリーは驚いて、自分の家にジョシュアを連れていきます。

そしてメアリーも、自分の生後間もない写真をジョシュアに見せたのです。


その写真には、もう一人の赤ちゃんが写っていて・・
それは、なんとジョシュアでした。

そう、二人は同じ時間帯に同じ病院で生まれた赤ちゃんだったのです。


生まれたときに出会った二人が、大人になって再び巡り合い、恋に落ちる。

まさに奇跡と呼べるような出来事です・・・。



「第6章 花瓶がもたらした再会」

時は第二次世界大戦の数年後。
アメリカのピッツバーグの古い教会に赴任してきた、若い牧師ジョシュアは、教会にかつての活気を取り戻そうと考えます。

ところが、荒れ果てた教会の修繕をなんとか終えた矢先、嵐で教会はめちゃくちゃになってしまいました。
それでも、落ち込んでいるわけにはいきません。

ジョシュアは、壁にあいた大穴を隠せるものを探しにバザーへと出かけ、
大きなクリスタルガラスの花瓶を手に入れました。


クリスマスイブの日、ジョシュアはバス停のベンチに座っている、50歳くらいの女性を見かけます。

そして教会に招きいれた彼女と話をした後で、飾ってあるクリスタルガラスの花瓶が、この女性のものであることがわかります。

けれども、持っていってくださいと言うジョシュアの言葉には首を振り、その女性は去っていきます。


その夜、ミサを終えたジョシュアに、初老の男性が声をかけてきました。

男性は花瓶を見つめ、昔妻に贈った花瓶にそっくりだと言うのです。


男性は、戦時中に妻を一人スイスへ送り、自分は強制収容所に送られたのです。戦後、妻の行方はわからなくなっていました。

昼間の女性の話と一致する話を聞いたジョシュアは、共にその女性を探してあげることにします・・・。



「第9章 ひとりだけの生還者」

第二次世界大戦中、ポーランドのゲットーに住むユダヤ人のファミーナは、親切なウクライナ人の農民、ロストフから、隠れ家に潜伏しないかと誘いを受けます。
はじめにファミーナを逃がし、成功すれば他の仲間も逃がす計画でした。

ところが、ファミーナを無事に隠れ家に連れていった後、ゲットーは封鎖されてしまいます。
そしてユダヤ人の仲間たちはみな、殺されてしまったのです。


一人きりで助かったファミーナ。
けれども、その四ヵ月後のクリスマスイブ、ついにファミーナをかくまえなくなったとロストフが告げます。
ロストフも、つらい決断でした。


彼の優しさに感謝しつつ、ファミーナは出て行きました。
そして、あてどもなく歩き続け、やがて大きな屋敷にたどり着きました。
そこは、その地方の知事の屋敷でした。

出てきた知事に、どうか自分を殺してくれとファミーナは頼みます。
しかし、知事は、自分はクリスチャンだからイブの日に人殺しはできないと断ります。

そしてファミーナを家に入れてくれ、一晩泊めてくれた上、翌日、知り合いの家を紹介してくれたのです・・・。



感想
この本の中には、本当にサンタクロースかもしれない、天使かも、キリストかも、というような経験をした話がいくつも載っています。
まさに、クリスマスの奇跡と呼べるような不思議な体験談です。

それとは別に、私が上にあげたような、人の優しさや暖かさを感じる奇跡もあります。どちらも素敵だと思います。


中でも私が一番好きなのは『四枚のチケット』ですが、奇跡としてはそんなにすごい!というものではないかもしれません。
でも、読み終わった後に心がすごく暖かくなり、幸せな気持ちにさせてくれます。


できれば、日本人の奇跡も見てみたかったですが・・・クリスマスは、やはり外国人にとってのほうが、特別なのかもしれませんね。



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