少年は戦場へ旅立った

 ゲイリー・ポールセン作 林田康一訳  あすなろ書房


あらすじ
主人公、チャーリー・ゴダードは15歳で義勇軍に入り、アメリカの南北戦争を戦いました。
出発前はただの少年だった彼は、戦争で人が死んでいくこと、そして人を殺すことをくり返し、その中で恐怖、歓喜、凶暴性、そして無気力、無関心を味わいます。
ひととしての感情が壊れ、心身ともに病んだ彼は、若くして「もうすぐ死ぬ」ことを悟るのでした・・・。



感想
この話は、実在したチャーリー・ゴダードが体験しただろう話を、一部創作を加えながら作者が書いたものです。
チャーリー・ゴダードは23歳でこの世を去ったそうです。

戦争のすさまじさと恐ろしさ、そしてひとがひとでなくなっていく感覚・・・。
それがリアルで、恐ろしくとても悲しくなります。

戦争で生き残ったひとたちに残る障害、それは人を殺すこと、死を目の当たりにし続けることで心が壊れるというものです。
おそらく戦争に参加したすべてのひとが感じるものなのだと思うと・・・
どれだけ戦争というものが恐ろしいか、痛感します。

文体はやわらかくて、章ごとに分かれているので読みやすいです。
内容は重いですが、戦争がどんなものなのかを少しだけ知ることができる一冊です。

実話か長編か迷ったのですが、とりあえず実話・・の方に入れておきました。



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