私のゲームの作り方


前回の続きです。

ちなみに前回までの工程はその1 その2

失敗談へ


■シナリオデータ作成


さあ、シナリオです。つまり、イベントを作成していきます。

初回、一番初めにイベントを作成したのは、最初の村です。
マップを作成したのがこの村だけの状態で、イベント作成に取り掛かりました。
最初の村のマップを作りながら、私はとにかく文字入力に慣れようと考えていました。
そのためにも、まず最初の村を完成させる。
おそらく、それで多少は慣れるはず。
マップを全部作るのはその後だと。

次回作からは、ある程度マップを作ったら、シナリオデータも並行して同時進行のような形で進めていく感じでした。
どっちかだけをやっていると飽きるし、
マップを作っているときに「こんなイベントここに作ろう」なんて思いついたら、すぐに作らないと忘れてしまったりするので、
一部のイベントだけマップと一緒に作ってしまったりと、その場その場、臨機応変に作っていました。

さて。

イベント作成には色々あります。
機能のページに書いたとおり、たくさんの種類があり、いろんなことができます。
しかし、まずは基本的なものから作っていきます。

町の中でいちばん基本的なイベントと言えば、マップをつなげるためのイベント。つまり、『場所移動』です。

最初の村には、家を何軒か建てました。
主人公の家。道具屋、武器屋、防具屋、宿屋、教会、民家、バトルルーム(レベル上げ用の部屋)。
これらの建物の中の部屋マップも作成しています。

村マップに建つ主人公の家のドアに下から触れたら、家の中のマップのドアの場所に場所移動するようにイベントを作成。
逆に、家の中のドアの場所に上から触れたら、村の主人公の家の外観にあるドアの場所に場所移動するようにイベントを作成。
フィールドと村の行き来もできるように、村の入り口にイベントを作成します。(もちろん、フィールド側にも村に移動する設定をします)

これが終わると、一気に町らしくなりました!

全部、ちゃんと移動できるかテストプレーをして確認してみますが、ちゃんとつながっているのを見ると、思わず何度も出入りしたくなっちゃいます。
バラバラに作ったマップが、つながるとひとつの町になるのです!
まだ無人の村ですが、なんだかちゃんとした村のように感じられて嬉しいです。

そうです、町と言えば人。

「ここは○○村よ」などの、おなじみセリフを言わせる人。
武器屋防具屋などの、物を売る人。
教会には神父など。
おのおの、必要な場所に配置していきます。


それに加えて、『システムデータ』のときにちょこっと語った、『ちいさなイベント』作りです。

『ちいさなイベント』とは、本編に関係ない、ちょっとした『お遊び』です。
どうでもいい場所で、どうでもいいセリフを言わせたり、そんな程度。

しかし、このお遊びはなかなか楽しかった。
こんなところ調べないだろうと思う場所に、こっそり『ちいさなイベント』を仕込んでおくのです。
もし見つけたら、「おっ」と思うだろうと思うと、ちょっと楽しいのです。
この、ちょっとした楽しさが、文字入力の面倒さを緩和してくれ、さらに文字入力にも少しずつ慣れさせてくれたのです。

で、多少は慣れたんですが、最初だからいろいろ大変な上、そんなお遊びイベントまで入れたため、最初の村で相当時間と労力を使っちゃったわけですね。
疲れた私は、この最初の村のマップを、残りの町にも流用しました。
おかげで、イベントを作る場所も同じものが多く、その点で、初回は町づくりが非常に楽(最初の村は大変だったけど、それ以外)でした。


しかしやはり、長文を入力するのが一番大変です。
多少慣れたとはいえ、大変で面倒で時間がかかるのは変わりません。

御神木によるお告げ。
町ごとの解決しなければならない問題イベント。
ボス敵前後のイベント。
ひたすら、ひたすら、文字入力のカーソル移動、○ボタンを連打しまくり、文字を入力し続けました。


そして他にも大変なことはあります。
それはもちろん、数々の機能。
シナリオデータ、つまりイベントの作成には、機能のページで書いた通りたくさんあります。
いろんなことができますが、そのどれも使ったことがない状態での作成です。
説明書と首っ引き、あれはどーやるんだこれは何なんだと、テストプレーしながら四苦八苦して作っていました。
もう15年以上も前のことなので、はっきりは覚えていませんが、とにかく大変だった。


とりわけ私がなかなか理解できなかったのが、『イベントを引き継ぐ』機能。

これは、二つ以上のイベントを連続で起こすときに使う機能ですが、
ページの概念もよくわかってなかった私は、最初のページにイベントを作成し、そこに引き継いで「引き継ぐ前にすでにグラフィックが表示されちゃってるじゃん!」とか、
引継ぎのやり方を間違えているにもかかわらず、「引き継いだのに引き継がれないじゃん!」とキレまくっておりました。
そのため、連続したイベントは起こせないものだと思い込み、「なにこれ、全然ダメソフト!ヽ(*`Д´)ノ」と怒りまくりました。
・・・のちに、やり方がわかりましたが。うん、できないはずがなかった。


3.テストプレー

一応説明書にはこの順に載っていましたが、シナリオを作りきってからテストプレーをする、ということはまずありませんでした。

実際は、シナリオデータを少し作ってはテストプレー、少し作ってはテストプレーを繰り返していました。

何しろ、やり方がよくわからずなんとなく作っていたため、「これでいいのか?」「ちゃんとできてるの?」というのがまったくわからず、
テストプレーをしてみて、「あ、よかったできてた」とか「全然できてない。どーすりゃできるの?」という具合に、確かめ確かめ作っていたのです。

しかしこれは結果的にとてもよいやり方になりました。
もし適当にダーッと作ってしまって、全部やり方を間違えていた場合、最初からやり直しになる上、間違った部分を探すのもまた大変。
面倒ですが、ちまちま作ってはテストプレーが、結果的には一番近道 になると思います。


んで、テストプレーするとわかりますが、何を作ってもどう設定しても、必ずと言っていいほど失敗しています。
やり方がわからないのは置いておいて、わかったはずのことも失敗しています。
何がどう間違っているのか、気づかないでイライラすることもしばしば。

スイッチ番号を間違えている。
ページ設定を間違えている。
イベントの指定を間違えている。
イベントの場所を間違えている。

などなどにより、イベントが思うように進まない。
何度も同じイベントが繰り返されたり、何度やっても目当てのイベントが起こらないなどの事態がこれでもかと起こります。

誤字脱字がこれまた多い。
テストプレーを数十回も繰り返して、同じ個所を何度も見ているはずなのに、ふと気づくと「あれ、ここにもあった」ということになります。
キーボード入力の場合は打ち間違いは多いものなので、誤字脱字が増えるのはわかります。
しかし、それと違って、一文字一文字いちいちカーソルで選んで○ボタンという、しち面倒くさい操作をしているにもかかわらず、なぜこんなに誤字脱字が多いのか疑問です。


そして、テストプレーで何より重要なのは、間違いを正すことだけではありません。


バランス調整です。

順調に進んだ場合、レベルがどれくらいになっているか。
それによる敵の強さはちょうどいいか。
主人公たちの強さは適正か。

また、プレイヤーの視点になることも重要でした。
私は制作者であって、プレイヤーではありません。
どこにどんなイベントがあるかを知っています。その後の展開も結末もすべてわかっています。
その状態で、「こうするだろう」と思い込んでイベントを作ることが、かなり危険 だということを知りました。

プレイヤーは、製作者の思い通りに動くことはありません。
私の場合、姉・桃子にプレイしてもらっていましたが、彼女は私の予期せぬ行動ばかりとりました。
横でプレイを見ていて、あああああと思うこと多数です。

『絶対にそうはできない』という仕様にしていることなら、製作者の思惑通りにプレイさせることはできます。
しかし、ある程度自由に動ける状態で、製作者の意図をはかり知ることなどできないプレイヤーは、自分の意思に任せて行動します。
そこにかなりのズレが生じる場合があるのです。


たとえば・・・こんなことがありました。
私の場合、一作目のキャラを使いまわしているので、主人公パーティはいつも同じです。主人公であるぬいぐるみ、そして友達の二人です。
そして、作品ごとにゲスト(そのときハマってるゲームのキャラ)を登場させているわけですが、好きなキャラなのでひいきしているというか・・・まあ、ようするに強いキャラにしているわけです。

で、どうも、いつも主人公のぬいぐるみが、パーティーの中でいちばん役立たずになってる気がして(実際一番弱いんですが)、
私は、「これではいけない、主人公の大事さを認識させなくては!」と思いました。

主人公は、力では及びませんが、数多くの魔法・・・回復や攻撃・間接魔法など、あらゆる魔法を使えます。
しかし、ゲストもさることながら、レギュラーのサブキャラ(友達二人)が、強い上に魔法も優れており、いつも主人公の影が薄いです。
これでは、プレイヤーである姉も、主人公の大切さなど気づけるはずもありません。

しかし、五作品目にして、主人公を輝かせる舞台を作ることが出来ました!

この作品は、主人公とサブキャラたちが、それぞれ離ればなれになってしまうストーリーなのです。
そして、それぞれがゲストキャラとパーティーを組んで進み、のちにその3パーティーが合流するという筋書きです。
そしてゲストキャラは、回復魔法が使用できないキャラでした。

つまり、主人公のパーティーでは、主人公以外は回復魔法が使えない のです。
フフフ、主人公のありがたみが身に染みてわかる というものです( ̄m ̄*)

そして私はとあるイベントを仕込みました。
ダンジョン内で、主人公がはぐれてしまうというイベント です。

残ったゲストキャラメンバーが、はぐれた主人公を探してダンジョン内をさまようわけです。
その間、回復魔法を使えるキャラはいません。主人公に会いたい、主人公さえいれば という気持ちになること請け合い。
その昔『新桃太郎伝説』で、普段弱くて足手まといだと思っていた浦島太郎が、飛ばされてしばらく会えない事態に陥り、彼のありがたみが心の底からわかったあの状況を作ろうとしたわけですヽ(´▽`)/


ところが。


姉・桃子は、ダンジョン内ではぐれた主人公を「足手まとい」呼ばわり。
そして見つけて、「全く手間かけさせて」とあきれ顔。な、なぜ・・・。

なぜかというと、姉はガンガンにレベルを上げており、ゲストキャラが最強魔法を使えるレベルになっていたからでした。
最強魔法は、敵全体に強力な攻撃魔法をぶつけられるものであり、そのダンジョンの敵など一撃でした。

回復の必要がないダンジョンで、回復役がはぐれた・・・
そりゃ全然困らない上、はぐれて探させて・・・完全に足手まとい ですね( ̄▽ ̄;)


私のテストプレーでは、その時点ではまだ最強魔法が使えるほどまでにレベルが上がっていませんでした。
当然、敵からの攻撃もそこそこ痛いもので、回復が必要であり、
主人公がはぐれたことで、いちいち道具でちまちま回復させなければならず、面倒だなあと思いました。
それでも、道具が豊富にあるので、そこまで主人公を渇望するほどでもなかったのですが、あまり厳しい展開にするのもどうかと思い、その程度にしておいたのです。

しかしそんなことは全くの無駄でした・・・。


このように、プレイヤーはまったくこちらの希望通りに進めてくれません。
特に敵の強さや主人公のレベル適正など、こちらがどれだけ心を配ろうとも、レベル上げの有無によって『バランス悪い』と思われてしまうわけです。
レベル上げ嫌いな人はほとんどレベル上げせずに進むので、
あまり敵を強くしたり、このレベルまでは上がってるだろうからこの魔法を持っているものとして調整、ということをすると、魔法も持っておらずレベルも低くて弱いので瞬殺され、「敵強すぎ」とか言われます。
かと言ってそれに合わせて、敵を弱めに設定すると、レベル上げをしっかりして進む人には「敵弱すぎ」と言われることになるでしょう。


このバランス調整こそが、一番難しいです。


どちらに合わせることも無理なので、
『そこまでレベル上げはしないけど、まったくしないで進むわけでもない』
という程度のスタンスでテストプレーをして、
そこそこ苦戦しつつも、命からがら助かったというほどでもない程度で勝てる敵の強さにするのが無難かもしれません。(難しいな!)

主人公のレベル適正も、ストーリーの全体の長さを考え、使える魔法や強さをちょうどよくするのが大事です。
中盤でカンストしてしまったり、終盤になってレベルが上がっても全然新しい技・魔法を覚えないとかつまらないです。
かといって、とっても便利で使える魔法や特技を、ラスト直前で覚えてもやっぱりつまらないです。
そのへんのバランスを、何度もテストプレーをして調整 します。


テストプレーは、かなり神経を使ううえ、あまり面白い作業ではありません。
とくに、失敗したところの直しはしかたないとして、 バランス調整は本当に大変なばっかりでつまらないです。
だから、やはり最初の作品は、そこまでこだわる必要がない程度の短編にするのがベストだと思います。
短編なら、プレイヤーのプレイの幅がそこまで広くないからです。広くなる前にゲームが終わるので。


また、これはあくまで、『ゲームを作って誰かにプレイしてもらいたい』と考える場合のことであり、
ただ『ゲームを作りたい』だけの場合 は、自分しかプレイヤーがいないのだから、自分のプレイスタイルにちょうど良く作ればいいだけなので、とくに大変なこともありません。

『ゲームを作る』=『作る過程を楽しみたい(作りたい箇所だけ作って、完成にはこだわらない)』なのか、
『ゲームを作る』=『完成させて、自分でプレイして楽しみたい』なのか、
『ゲームを作る』=『完成させて、誰かにプレイしてもらいたい』なのか、
それによって、『テストプレー』というものの意味は、全く違ったものになります。

もし、誰かにプレイしてもらいたいと考えるならば、入念なテストプレーとバランス調整に加えて、
何を言われても喧嘩しない、落ち込まない、無視する、といったスキルも必要になるので、かなり大変です。

トラブルに巻き込まれないように、事前の対策と、何か起こった時の対処法をしっかり確認して、
大切な作品を、「作らなきゃよかった」なんて思ってしまうような、悲しいことにはしないようにしましょう♪

上記スキルや、対策・対処がしっかりできないだろうと思ううちは、
自分だけで楽しむか、家族など身内だけにやってもらうのが一番楽しめると思います(#´∀`#)


さて。


一作目とそれ以降では多少手順など違いますし、楽しんでやる部分に変化があったりもしましたが、
変わらないのは、完成した時の達成感 です。

よく、クリエイターが言う自分の作品はわが子のようだという言葉が少しだけわかる気持ちです。

何もないところから、一つの作品を作り上げた。
パーツパーツは用意されているものだけど、それを組み合わせ、ゲームという形にしたのは自分であり、そしてできた作品は世界でただ一つ。

自分で考えたストーリー。
自分で考えたセリフをしゃべるキャラクターたち。

感動します。

どんなに稚拙でも、失敗したところやこうすればよかったなあと思うところがどれだけあろうとも、
本当に大切な宝物のような存在になります。


だからこそ、一つの作品を作り上げたのち、しばらくしたら「また作りたい!」という気持ちになってしまいます。

私の場合、ネタが浮かんだから「作ろうかな」となるのではなく、
「またゲームを作りたいな!」と思って作ることになるので、ネタはないことがほとんどです。
なので、そこからネタを考えることになり、いつも大変です。

最初の時もそうでしたが、「とにかく作りたい」ので、ネタを考えてから作成することができません。
おおまかな流れをなんとなく決めたら、あとは作りながら考えればいいやというスタンスで作り始めてしまいます。
だから、矛盾を発見、直して進めて、新しく思いついたから、さっきの流れにぶち込んで・・・などという、行き当たりばったりのつぎはぎ作成になります。
これのせいで、無駄な時間を費やしたり、「こうしよう」となんとなく決めてたことを忘れて、全部作り終わった後で思い出して「あああ!」となったり。
・・・まあ、それもまた楽しい思い出でもありますけど(*´ω`*)


一作目を作ってから、二作目を作るまでは二か月空きました。
そのあとは数か月くらいずつ空いて、五作目までは頻繁に作ってましたが、ラストの六作目を作るときだけ、二年くらい空いたかもしれません。
この頃は、とにかくゲームをやって、その間にゲームを作る、という感じに、かなりゲーム作りにハマってたって感じですね。
もう、三作目あたりには、文字入力の面倒さなんてさしたる問題でもない状態になってました。めっちゃ早く入力できるようになっていたし(笑)


さてさて。ひとまずこんなところで、私のゲームの作り方は終了です。

これからゲーム作成をしたいな〜と思っている方に、少しでも参考に・・・古すぎてなる気がしませんが、
それはさておき、私の思い出話に長々と付き合っていただいて、ありがとうございました♪


では最後に、私のゲーム作成での失敗談を少々。

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