ズッコケ三人組の未来報告(シリーズ第二十五巻)

 那須正幹作 前川かずお(亡くなられるまで) 高橋信也(それ以降作画として)画  ポプラ社


あらすじ
卒業間近、タイムカプセルに「二十年後の自分」を書いた作文と、様々なオモチャなどを入れることになりました。
作文を書いていなかった三人は、帰り道、二十年後の未来についてあれこれと会話します。

そしてその翌朝、なぜか突然二十年後に世界は一変し、ハチベエは大人になっていました。
おまけに、結婚し子供までいるのです。

昔の夢を見ていたのか、とハチベエは考え、クラス会の準備を始めます。
今回のクラス会は、先生を呼び、タイムカプセルを開けるという大規模なものです。
おまけに、長いこと会っていなかったハカセとも久しぶりの対面です。

ところがタイムカプセルの確認に行ったとき、タイムカプセルが紛失しているのがわかりました。
いれたオモチャの中に、今は価値があるカードがあったため、それを盗んだ人がいるのではないか、ということになります。


ところがクラス会の前日、なぜかタイムカプセルは戻ってきました。
なくなっているものもないようです。
いったい誰が、なんのために・・・。


クラス会では、昔の作文を読み、今の近況を話すことになりました。
そこでなくなっているものに気づきます。
それは、十五年前に亡くなった長嶋崇の作文と、自画像でした。


クラス会と同時期に、彼らの住むミドリ市ではある大きなイベントが開かれることになっていました。
そのイベントとは、今大人気のスペースロック歌手、ジョン・スパイダーが来日するというものです。
彼は霊と交信して曲を奏でるということで、もしかしたら長嶋崇の霊が彼を呼んだのかも・・・?

そしてそれに必要だったから、品物を盗んだのでしょうか・・・?



感想
今回は、未来編です。

ハチベエもモーちゃんも結婚していて、独身なのはハカセだけ。
今までに登場した、たくさんのクラスメイトたちの未来の姿も書かれていて、
何だか感慨深いものがありました。

未来のやお八(ハチベエの家)の描写も未来っぽくて面白いですね。
二人の息子がハチベエそっくりなのも笑えます。

そしてメインはやはり盗まれた一人の少年のタイムカプセルです。

不思議な歌手との関係は?
という謎が、緊迫感があってわくわくしましたし、
長嶋というクラスメイトの話であったために、今回は元クラスメイト達の活躍もいろいろ見られました。
コネを駆使して有名人の歌手と面会するという流れも、大人になった感じがして新鮮です。


ハチベエが中心で展開していく話ですが、
モーちゃんがホテルマン、ハカセは考古学者という立派な姿。

常に一緒にいられるわけじゃなくて、ハカセとは久しぶりの再会です。

子供の時と同じようにあだ名と、気さくな関係がまぶしく感じました。
姿は変わっても心は変わらないまま、というのが、
もちろん夢なんだから当然といえば当然なんでしょうが・・・
それでもやっぱり、時がたっても変わらない三人の関係にとてもほっこりしました。



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