ズッコケ妖怪大図鑑(シリーズ第二十三巻)

 那須正幹作 前川かずお(亡くなられるまで) 高橋信也(それ以降作画として)画  ポプラ社


あらすじ
雪の朝、ハカセとモーちゃんが早起きして散歩していると、旧館のそばに不思議な足跡を発見しました。
まわりにはその足跡しかなくて、どこから来たのかわからない獣の足跡です。

そのあとで、最近ハカセたちが住む市営アパートの六号棟で、不思議な出来事が起きていると知ることになります。

市営団地には旧館と呼ばれる、ハカセたちのアパートよりも前に建っていて、ボロボロになり、取り壊される予定の建物がありました。

旧館にはお年寄りが数人しかいませんが、日当たりが悪くなったりしたため、新館(ハカセたちのアパート)を嫌っています。

一つ目小僧が出ただとか、女の幽霊が天井から落ちてきたとか、不気味な事件がいくつかあった上に、
ハチベエたちまでついに大きな火の玉に襲われる羽目になってしまいました。

これはきっと旧館の人が、新館の人を追い出そうとして起しているに違いない。

モーちゃんのお母さんはそう思っているようですが、それにしては不可解なことが多すぎます。

もしかしたら集団幻覚を見たのかもしれない・・・。

説明のつかない出来事を前に、さすがのハカセも困り果てていましたが、
昔アパートがたつ前に建っていたという「石」が謎を解くきっかけになり・・・。



感想
歩いていて、前から来た男の子が一つ目小僧だったら、そりゃもうびっくりしますね。

昔話によくありそうな、妖怪との遭遇です。
見てみたいけど、実際に見てしまったら、モーちゃんのように寝込んでしまいそうです。

そんなお化け屋敷のような体験を、実際にしてしまうハチベエ達。
今回の目撃者は、モーちゃんのお姉さんのタエコ姉さんも一緒です。

火の玉だけじゃなくて、妖怪の大行列まで目の当たりにしてしまい、
しかもそいつらは、「この土地から出ていけ」と言っているのです。

本当に新館の人たちを追い出そうとしている。

でも、どう見ても、旧館の人たちの仕業ではない。

いったい誰の仕業なんだろうか・・。

という、不思議なドキドキわくわくと妖怪が相まって、
非常に楽しい気持ちで読めます。

実際取り壊す予定の建物に住んでいる人だとか、妖怪騒ぎで引っ越し騒動になってる人とかにしてみたら
不謹慎極まりないですが。

謎を解いていくくだりも、先生だとか和尚さんとかから地道に情報を得て、図書館で本を調べて、歴史の勉強をしているみたいで楽しめました。

どう考えても、追い出されそうになっているハカセたちが解決しなければ困る問題です。

だから最後の最後までハカセたちが正義で、スカッと爽快な気持ちになれると思ってましたが、
終わってみればなんだか切ない気持ちになりました。

自分の場所を守りたいのは、みんな一緒なんだよなあ・・。

少しもの悲しさを感じる余韻も含めて、私はこのお話が好きです。



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