ズッコケ文化祭事件(シリーズ第十七巻)

 那須正幹作 前川かずお(亡くなられるまで) 高橋信也(それ以降、作画として)画  ポプラ社文庫


あらすじ
もうじき、文化祭(学芸会)。ハチベエたちのクラスでは、劇をやることになりました。

しかし、せっかく最後の文化祭、その他大勢ではつまらないと、ハチベエは計画を練ります。
そして、近所に住む売れない童話作家に、劇の台本を書いてもらい、その中で自分を主役にしてもらうことを思いつきます。


ハカセとモーちゃんも連れて、お土産を持参して、童話作家の新谷さんに頼み台本を手に入れたハチベエ。
しかしそれをクラスで発表したところ、不評で、書き直されることになってしまいました。


新しい台本は、クラス一の文学少女・水島かおりが書き直し、ハチベエとモーちゃんは劇で役をもらい、ハカセは裏方に決まりました。
しかしハカセは、音響効果を取り入れたりと十分ハッスルしているため、問題ありません。


しかし問題は、新谷さんの台本を書き換えてしまったことです。

話によれば、新谷さんは、自分の作品にけちをつけられると怒るという人のようです。

いったい文化祭はどういうことになってしまうのか・・・。



感想
面白いです!
みんなで協力して、一つの劇を作り上げていくところが、本当にわくわくしました。


今回、劇を盛り上げるのに一役買ったのは、徳大寺邦光という男の子です。
彼は前児童劇団にいて、テレビにも二、三度出たことがあるので、演技指導担当になります。

そして裏方のハカセも、音響としていろいろ努力します。

演技指導の彼もハカセも、裏方です。
でも裏方がいなければ、劇は盛り上がりません。

演技する人も、演技しない人も、同じくらい大切だというのが伝わってきて、文化祭では私も大満足でした。


また、あらすじでは省きましたが、私が気に入っているのは、ハカセと新谷さんが偶然会うシーンです。

ハカセは、努力しているのに学校の成績がかんばしくないため、私立受験をあきらめたのです。
ちょうどこの時期、周りでは私立受験の話がさかんで、彼の心はブルーでした。

それでも公立中学で頑張ろうと前向きに考え直し、彼は参考書を見に本屋へ出かけます。

そこで、新谷さんと出会うのです。
(新谷さんとハカセは、このときもうすでに顔見知りです)


新谷さんが児童書のコーナーで、
自分と同じときに、自分よりも下の賞を取って今では売れっ子になった、という人の作品を、ハカセに見せます。
ハカセが「変だな、新谷さんのほうがいい作品だったんでしょう」と言うと、
新谷さんはこう言います。


「作品のできふできと、本の売れ行きは関係ないさ。まじめに勉強する子が、必ずしも成績がよいとは限らない」


そして「人間には運、不運がある、チャンスを物にできる人とできない人がいる、となると、やっぱり実力かもしれない。彼女はチャンスをつかめ、自分はできなかった」と疲れたように続けます。


そんな新谷さんに、ハカセは大声で「そんなことはない、新谷さんが新作を書けば、こんな本以上の傑作になる」と答えます。

ハカセは、新谷さんを心配して励ましたのではありません。

新谷さんのセリフが、まるで自分のようだったから、そう言ったのです。

ハカセの気持ちを思うと、何だか胸がいっぱいになる、そんな場面です・・・。


今回唯一ちょっと残念だったのは、モーちゃんの活躍の部分が少なかったことですが、

そのかわりに、宅和先生の活躍?が見られてよかったです。

こういう先生がいてくれると、生徒は幸せですね。(生徒にはたとえ伝わらなくても)



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