ズッコケ結婚相談所(シリーズ第十五巻)

 那須正幹作 前川かずお(亡くなられるまで) 高橋信也(それ以降、作画として)画  ポプラ社文庫


あらすじ
ある日テレビで、小学生の自殺のニュースを見たハチベエは、そんなことにならない方法を考えます。

そして、ハカセやモーちゃんを巻き込んで、子供電話相談室を始めることにしました。


しかし数日後早くもトラブル発生で、電話相談室を閉鎖しようとすると、モーちゃんから、今日だけはやめないでくれと言われます。

そしてその直後出かけたモーちゃんからの電話で、母親の再婚話の相談を持ちかけられたのでした。


モーちゃんには、父親がいません。
赤ちゃんの頃に離婚して、それからは母親と姉と、三人で暮らしてきたのです。
当然、モーちゃんに父親の記憶はありません。

相談を持ちかけられたハチベエとハカセは、一度その人に会ってみたいと考えます。


その機会は、それからすぐに訪れました。
成田さん、というその人が、モーちゃんをナイターに誘い、友達を連れてきてもいいと言ったからです。


成田さんは、とても感じのいい人で、ハチベエもハカセも、この人ならいいんじゃないかと感想を述べます。

しかしモーちゃんは、どうにも歯切れが悪く、成田さんを嫌いではないけれど、賛成できかねているようです。


その理由を考えたハカセは、モーちゃんを元の父親に会わせたらどうかと思い、旅費をタエ子姉さん(モーちゃんのお姉さん)に出してもらい、三人(ハチベエ、ハカセ、モーちゃん)で東京へ旅立ちました。

その人がどんな人か、それがわかればきっとモーちゃんの心も決まるだろうと、モーちゃんには旅の行き先を告げずに・・・。



感想
これは、モーちゃんクローズアップの話でした。
モーちゃんの親が離婚していることは、最初の頃から書かれていましたが、ちゃんとこういう形で書くつもりで、あの設定を作っていたんですね。


離婚や再婚は、本当に難しい問題です。

子供にとっては、やっぱり、親は親だし、他人は他人です。

そう簡単に割り切れるものではないと思います。


モーちゃんにとっては、ほとんど生まれたときから父親がいないのが当たり前なので、ますます困ってしまったのでしょう。

いつも優しくて素直なモーちゃんが、こんな問題に直面するなんて・・・と、ものすごく胸が痛くなってしまいました。


それとは別に、私も女なので、モーちゃんのお母さんについても感情移入する部分があります。
女手一つで子供を育てて、再婚のチャンスなんてそうあるものではありません。

たぶんすごく結婚したいだろうと思うのに、自分だけの意志で決めることはできないのです。
タエ子姉さんやモーちゃんに、ちゃんと許可を求めようとする、それは親としては当然のことかもしれませんが、子供を大切に思っている証拠です。

とても、立派で、いいお母さんだな、と思います。


そして、女として、お母さんの再婚を見つめるタエ子姉さんの姿も印象的です。

高校生な分、考え方も大人で、いろいろ割り切っていて。

だけど、そんなタエ子姉さんが受けたショックを思うと、やっぱり結婚というのは、ものすごく重いものだと感じました。


そしてやっぱり、モーちゃんを心配するハチベエやハカセ。

友達って、いいものですね。

家庭のことを打ち明けられる友達は、なかなかいないでしょう。

心から心配して、親身になって、東京まで一緒に行く二人の優しさは、(彼らの住むところはミドリ市といって、中国地方にある)本当に支えです。


この回は、三人の友情をひしひしと感じました。



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