ふしぎな目をした男の子

 佐藤さとる作 村上勉画  講談社 青い鳥文庫


あらすじ
前作からさらに時が過ぎたコロボックル国。

コロボックルの中に、「ツムジ」というつむじまがりのじいさまがいました。
ツムジのじいさまは学者で、昔のことを調べるのが仕事です。

そして人間と仲良くなるのはよくないことだと常々言っているのに、
どんどんコロボックル国が発展し、人間と関わっていくので嫌気が差し、ついに国をとびだします。

しかし公園の梅の樹のほらあなに住み着いたじいさまは、
コロボックルの姿を目で見ることができる人間を見つけてしまいました。


普通の人間には決して見えないはずのすばしっこいコロボックルを、しっかりと見ることができる人間。
国に戻って報告すると、味方にしたほうがいいということになり、じいさまが最初の友達に任命されます。

なんだかんだいってその子(タケルという名前でした)に興味があったじいさまは、すぐに仲良くなります。


やがて大きくなったタケルは、じいさまのことはあまり人に言わないほうがいいことを教えられます。
なぜかというと、人間に興味本位で近づかれることは、コロボックルの世界の崩壊を意味するからです。

そしてまた、そのうちじいさまではない「本当のトモダチ」(新しいコロボックル)がタケルに会いに来るということも。
(悲しいことですが、それもしかたありません。
まだ子供のタケルとじいさまでは、生きる時間の流れが違うので・・・。)


また、タケルはヒロシというお兄ちゃんと知り合います。
タケルが昔から遊んでいた用水池で釣りをしていたヒロシは、タケルに池ができる前の話をしてくれました。

それを陰で聞いていたじいさまは、この池は最初、コロボックルの先祖が作ったものだとわかります。

しかし用水池はもうすぐ埋め立てられてしまうかもしれない運命でした。
タケルもヒロシも、そしてコロボックルにとってもここは消えてほしくない場所でした・・。


そしてタケルが小学生になったころ、タケルのところに新しいコロボックルがくることになりました。
じいさまとおなじ「ツムジ」というあだ名を持つ「ツムちゃん」です。

じいさまにタケルのことを教え込まれたツムちゃんも、タケルにあうのを楽しみにしていました。

一方、例の用水池はすっかり汚くなってしまい、それを悲しんだタケルとヒロシは、
用水池の水を流してしまう計画を立てました。

そしてその行動が思わぬ結果を招きます。
それは人間とコロボックルが再び協力して起こした奇跡、といってもいいような出来事でした。



感想
シリーズ四作目です。

じいさまの心配もわかるなあ、とうなずきながら見ていたら、
文句を言いながらも、自分も子供と仲良くなっちゃうのがかわいかったです。


そして、私がこのお話の中でとても好きなのは、
ヒロシがタケルに話した「生きている水」のこと。


用水池が汚くなる前に、ヒロシは池の水を汲み、
大きな水槽に、池に泳いでいた魚を入れて部屋で飼っていました。

そしてタケルに教えてくれたのです。

この水は生きている、と。

この水の中には、みじんこやプランクトンがたくさんいて、
そいつらは水に落ちたごみや藻のきれっぱしを食べて生きる。

そしてみじんこやプランクトンを、魚が食べる。

みじんこの死んだのや魚のふんは、水草や藻のこやしになる。

だから水草もずっと生きていける。

水草や藻は水の中の炭酸ガスをすってきれいな酸素を吐き出す。
それをみじんこや魚がすって、炭酸ガスを吐き出す・・・。

この水の中でいのちがまわっているんだ、とヒロシは言います。
うまくつりあいがとれているから、いつまでもきれいな水のままなんだと・・・。

「桜谷用水池はこのガラスの中でずっと生きていくんだ。
もとの用水池が死んじまってもな」

そう言うヒロシに、私は心から感動してしまいます。

ヒロシもまた、純粋で優しくて、あったかい心の持ち主ですね。

そして、タケルにそのことを伝え、伝えられたタケルも、
澄んだ心で大きくなっていくのです・・・。

そんな二人の心が、このお話をとても素敵にまとめています。

読み終わると、心がぽかぽかになっていくような気がして、
とても大好きなお話です・・・。



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