だれも知らない小さな国(シリーズ第一巻)

 佐藤さとる作 村上勉画  講談社 青い鳥文庫


あらすじ
主人公の「ぼく」は、子供の頃、とても不思議な体験をしました。

「ぼく」だけの特別な場所を見つけ、(彼はそこを「小山」と呼びました)
そこで遊んでいたとき、小さい人を見たのです。

小さい人は、小指くらいの大きさの人間で、とてもすばしっこく、
あっと思ったらすぐにいなくなって、それから二度と見ることはできませんでした。

そして大人になった「ぼく」は、再び小山へ行ってみました。
懐かしい記憶の場所と対面したとき、どうしても「小山」を欲しくなり、小山をいつか買おうと決心します。

そのうちに、「ぼく」は、昔見た小人が、また自分の周りにいることに気がつきました。

小人のことをあれこれ調べた結果、「コロボックル」と呼ばれる小人ではないかと思うようになります。

そしてついに、「小山」で、コロボックルたちは姿を見せました。
「ぼく」はコロボックルたちに信用され、彼らは、「ぼく」に「せいたかさん」という呼び名をつけます。

しかし、多くの人間たちのことは、まったく信用していないようでした。
人間たちには本当にひどい目にあわされてきたからです。

それでも、この小山(自分たちの住む場所)を守るために、人間の味方は必要でした。
そこで、せいたかさんが選ばれたのです。

せいたかさんは、着々と小山を買う準備をすすめますが、ある日小山で読書をしていた女の人と出会います。

女の人は、せいたかさんが小山の持ち主だと知ると(まだ借りている段階でしたが)、逃げてしまいました。

しかし後日、その人と再会します。

彼女は、あの山を不思議なところだと言い、何かを知っているようにも見えます。
はたして彼女は、二人目の味方になれる存在なのでしょうか・・・。

そんなとき、大変な問題が持ち上がります。

小山を切り崩し、道路を作る計画ができてしまったのです。

せいたかさん一人の力では、役所には到底太刀打ちできません。
しかし、あの場所はどうしても守らなければならない。
せいたかさんは、知恵を絞ります。

そして、せいたかさんは、コロボックルらしいやり方で、そして自分の力も最大限活用して、工事の計画をつぶすことを考え付きます。

成功するかはわからないけれど、やってみるしかありません。

あの小山は、コロボックルたちがひっそりと暮らす、とても大切な場所なのですから・・・。



感想
小人って、いいですよね。

とにかく、惹かれます。大好きです・・・。

小人というと、何となく外国のイメージがあったので、日本モノの小人にびっくりしました。
でも、とってもかわいいです。


かわいいけど、コロボックルたちは、かわいいだけではありません。

人間たちに散々な目にあわされてきたので、人間を警戒していて、
蜂の毒針などを使って攻撃したりする、勇猛な戦士でもあります。


このお話を見ていると、私はコロボックルに信用してもらえる人間かなぁ、とちょっと不安になりますが、せいたかさんはまったく問題のない、いい人です。

でもコロボックルたちも、どうしてせいたかさんは自分たちにそんなに興味を持つんだろう、と不思議に思ったかもしれません。

それは多分、せいたかさんは、コロボックルという存在がそこにいる、ということが幸せだと感じているからではないでしょうか。

せいたかさんは、体は大人だけど、ずっと子供の心を忘れない、珍しい大人だったのです。
そういう人と出会えたコロボックルたちは、幸せです。

それにしてもせいたかさんがうらやましいです。

私はこのお話を読むたびに、小人に会いたくなってしまいます・・・。

内容もワクワクして面白いんですが、それよりももう、コロボックルたちの魅力が私をとりこにしています。

この物語は、それが何よりの(私的には)面白さなのではないでしょうか。
小人が好きな人にはオススメです!



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