ハリー・ポッターと炎のゴブレット(シリーズ第四巻 上下巻)

 J.K.ローリング作 松岡祐子訳 ダン・シュレシンジャー画  静山社


あらすじ
ハリーは、ロンやハーマイオニーとロンの家族と一緒に、クィディッチワールドカップを観に行くことになりました。

ものすごくたくさんの魔法使いがワールドカップに集まり、
試合後の興奮冷めやらぬ中、そこでとんでもない騒ぎが起こります。
顔にマスクをつけた集団が、何人かのマグルを高く空に浮かばせたのです。
アーサー(ロンの父)は魔法省の役人で、この日は非番でしたが、慌てて騒動を鎮圧する一員に加わります。

その大混乱のさなか、テントに戻ろうとしたハリー、ロン、ハーマイオニーの目の前に、突然『闇の印』が打ち上げられました。

『闇の印』は、ヴォルデモートとその手下が人を殺したときに必ず打ち上げるしるしで、
それの作り方を知っているのはデス・イーター(死喰い人。ヴォルデモートの手下)だけ。
ワールドカップは、恐ろしい事件の予感を秘めたまま終了しました。


学校へ戻ったハリーたちは、今年度ホグワーツで『三大魔法学校対抗試合』が行われることを知ります。
ホグワーツのほかの魔法学校から選手を出し、三校で「賞金一千ガリオン(魔法界でのお金の単位)と名誉」をかけて競う大会です。
参加資格は現17歳以上。
参加校はホグワーツのほかにはボーバトンとダームストラング。(共に魔法学校)
参加者は各校一人ずつ。

決め方は、魔法の『炎のゴブレット』に自分の名前を入れ、ゴブレットがその中から選ぶというものです。
ボーバトンからは、ロンが見とれた美少女、フラー・デラクールが、ダームストラングからはビクトール・クラム(ワールドカップで活躍したクィディッチ選手)。
そしてホグワーツからは、ハッフルパフ寮のセドリック・ディゴリーが選ばれました。

しかし、それで決まったと誰もが思った瞬間、ゴブレットはもう一人の名前を吐き出したのです。
それは・・・、『ハリー・ポッター』という名前でした。

名前を入れた覚えのないハリー。(17歳以下だから当然)
しかし参加することになってしまいます。

そしてそれが、再びハリーを孤立させることになりました。
ハリーが自分の力を誇示するために、17歳以下でありながらズルをして代表にもぐりこんだのだろうと・・・。
さらに今回はロンさえもハリーの味方をしてくれません。

そんな中、ハーマイオニーだけが、ハリーの味方でした。

また追い打ちをかけるように、リータ・スキーターという魔法界の新聞・日刊預言者新聞の記者の女性がハリーの前に現れます。
彼女はハリーに独占インタビューをし、ハリーが言ってもいないことをでっちあげ、ハリーを悲劇のヒーローのように書き立てたのです。
その扱われ方が、生徒たちの怒りをさらに買ったのは言うまでもありません。

そして、対抗試合の内容もまた、ハリーの悩みでした。
17歳以上でないと乗り切れない危険な試合・・・。
ハリーはその課題に悪戦苦闘することになります。


あのゴブレットに、名前を入れたのはハリーではありません。
誰がハリーの名前を入れたのかは、わかりません。
けれどもハリーは、それが誰であれ、自分に栄光をプレゼントしようとしているからだとは思っていませんでした。

ハリーの命を誰かが狙っている・・・。
ハリーが生まれたときから、狙っているその誰か、を、ハリーは知っています。
そしてハリーは、ワールドカップに行く前に、恐ろしい夢を見ていました。
その夢の中では、ヴォルデモートがしもべと共に、ハリーを殺す計画を練っていたのです・・・。



感想
初めての上下巻です!
一応上巻の内容をざっと書いてあります。
長いとその分、楽しみが多くて嬉しいですが、ハリーにとっては今回も辛いことばかりでした。

とにかく、ハリーとロンの喧嘩は非常に辛かったです。
どんなときでも三人は一緒だったし、いつもハリーの味方をしてくれていたので。
だからこそハリーは頑張れていたのです・・。

ハリーに対するロンのわだかまりは、嫉妬です。
ずっとそばにいる親友だからこその嫉妬。
人間として生まれた以上、それは仕方がないことなのかもしれない・・・。
ロンの気持ちは痛いほどわかるけど、それでもハリーがかわいそうで仕方がありませんでした。

そして今回、ハリー、ロン、ハーマイオニーに降りかかることとして、「恋」があげられます。
三人もいよいよそういう時期にさしかかったのですね。
私としては、ようやく・・・というところです。
すべてにおいて、非常に楽しみな展開が期待されます。

しかし今回は、とても悲しいことも起こります。
この巻からは、避けられない出来事です。
ハリーの未来が幸せであるようにと願って、シリーズを読み進めていきたいと思います・・・。



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