ハリー・ポッターと秘密の部屋(シリーズ第二巻)

 J.K.ローリング作 松岡祐子訳 ダン・シュレシンジャー画  静山社


あらすじ
夏休み、ダーズリー家で一人さびしく過ごしていたハリーのところに、屋敷しもべ妖精のドビーが現れます。

彼はハリーに「命が危険だからホグワーツ(魔法学校)に戻るな」と忠告し、それを聞き入れなかったハリーを窮地に陥れます。

よりにもよって、バーノンおじさん(ダーズリー家の主)の大切な商談中に、魔法を使って大騒ぎするということをやらかしたのでした。


半人前の魔法使いは、外で魔法を使うことを禁じられています。

ハリーはすぐに、魔法省(魔法界の役所)から公式な警告状を受け取る羽目になりました。


ひどい目にあったハリーは、しかしその後ロン(親友)の家で夏休みを過ごし、ひとときの幸せを満喫できました。

そしてどうやら、今年入学のジニー(ロンの妹)がハリーに憧れているようです・・・。



そのあと、新学期そうそう、ハリーとロンは災難に合います。


しかしハリーにとって、何よりの災難は『ギルデロイ・ロックハート』という、『闇の魔術に対する防衛術』(教科科目)の先生と出会った事でした。

彼は有名人で、たくさんの著書を書いている魔法使いです。

数々の危険なものを倒し、様々なことにとても詳しいという、魔女の憧れのスターなのです。

しかし休み中、みんなで教科書を買いに行ったときに初めて彼に出会ったハリーは、初対面から彼が“一人つっぱしり屋”であることを知ります。


彼はハリーが『かの有名な、ハリー・ポッター』であることに気づき、無理やり人波から引っ張り出し写真を撮らせました。

自分と写真が撮れてうれしいでしょう、と言わんばかりの笑顔で、自分の著書を押し付け満足げに去っていったのです。


そして学校が始まってからも、何度もハリーを呼びハリーの行動を指摘しては、

「君はあのとき(初めて会った時)有名になるという蜜の味を覚えてしまったのだね。しかし今は我慢しなさい」と諭してきます。


別にハリーは目立つつもりなどなく、いい気になっているわけでもなんでもありません。

ただ周りが、『有名なハリー・ポッター』をほっておかないだけなのです。

そしてまた、ハリーはなぜか目立ってしまう状況に置かれるという、不運でもありました。

そのため、ロックハートに誤解され続けます。



そしてある日、ハリーは不気味な声を聞きます。

「殺してやる・・・」
ハリーにしか聞こえない声は、そう言いました。

その後、その不気味な声を追いかけた、ハリー、ロン、ハーマイオニーは、ミセス・ノリス(寮の管理人の飼い猫)が石になっている現場に出くわします。

それとともに、「秘密の部屋は開かれたり 継承者の敵よ、気をつけよ」の文字・・・。

学校中は、突然恐怖に包まれます。


その「秘密の部屋」とは、かつてホグワーツを創った創始者たち、ゴトリック・グリフィンドール、ヘルガ・ハッフルパフ、ロウェナ・レイブンクロー、サラザール・スリザリンが、意見割れをし、スリザリンが創ったとされる部屋のことでした。

スリザリンは、学校に入れるのは純粋な魔法族の家系だけにし、マグル出身者はふさわしくないという考えで、他の三人と対立したのです。

スリザリンの血を引きし「継承者」のみが開くことができるその部屋には、
恐ろしい怪物がいて、それを解き放つとき、ふさわしくないものを追放するという言い伝えがありました。



そして・・・犠牲者が増えていく校内。

秘密の部屋とはどこにあるのか?

そして継承者とは誰なのか?


ホグワーツに緊張が駆け抜ける中、
ハリーは皆に継承者だと思われ、孤立してしまいます。

それは、スリザリンとハリーに共通する『蛇と話せる能力』のせいでした。


自分はスリザリンの継承者なのだろうか?
ハリーは自分の存在に苦しむことに・・・・。



感想
シリーズ物なので、一作目から順に読んだほうがいいと思います。

簡単な説明はありますが、細かな部分がわかりにくいので・・・。


相変わらず、「面白い!」第二作目です。

どの部分が面白い、とかではなく、全部がうまく絡まっていて何もかもが面白いです。

私としては、ロックハートとハリーの攻防?が好きですが・・・ハリーは今回も大変ですね。


それにしても、よくできた物語だなぁ、と感心します。

何の意味もないと思っているような些細な出来事が、パズルのようにカチッと合わさって、複雑な物語が出来上がっているのです。

第一作目でまだハリーが魔法使いだと気づいていない頃、出かけた先で蛇と会話するシーンがありますが、それが二作目で重要なこととして出てきたのにも驚きました。

細かい部分の様々なつながりもまた、このシリーズの大きな魅力です。


そして今回初めてロンの家族、ウィーズリー一家が全員登場。
もうみんな魅力的で、出会ったそばからみんなハリーの味方の優しい人たちばかり。大好きです。


そしてまた、一作目同様、ハリーの素晴らしい勇気と優しさは私を感動させてくれます。

やっぱりハリーはカッコイイ男の子で、すごく大好きな存在です。


もちろんハリーの強い味方、ロンやハーマイオニーの活躍(というほど、ロンは活躍していませんが)も、素晴らしいですね。

まったく期待を裏切らない第二作目だと思います。



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