微笑みながら消えていく

 銀色夏生  角川書店


あらすじ?と、感想

作者、銀色夏生さんが書いた詩集。

写真もいたるところにちりばめられていて、これも作者が撮ったもの。
写真・詩集といったほうがいいかもしれません。
きれいな写真に、素敵な詩が添えられているので、読んでいるととても、
しみじみといい気持ちになれます。

私が特に好きなページは、詩というより、話し言葉で書かれているのですが、
“砂だらけの水中眼鏡”というところです。

広がる、夕焼けの海の写真がとてもきれいで、そこに書かれた詩もとてもきれいで、
何だかボンヤリとしてしまう見開きのページの、ちょうど真ん中ぐらいに書かれた言葉です。

悲しい気分の時には何もする気がしない、誰と話をしても落ち込むばかりで、一向に這い上がっていくことができない。
そんなときに、砂だらけの水中眼鏡を水で揺らしたら、隅々まで砂がとれて、きれいになった。
それをつけて、水の中を揺られながら見つめていると、その瞬間は、悲しいことを忘れて、ほんの少しだけ楽しい気分になった、というのです。

時が過ぎるのを待つしかないときがある、苦しいけれど、じっと耐えるしかない。

けれども、その気持ちがきっと私たちを強くしてくれるでしょう・・・と。



私がその言葉に引かれたのは、私自身が辛かったからかもしれません。
何だかどうしようもない気分って確かにあり、どうにかしたくても、どうにもできません。
だけど時が過ぎると、不思議と思い出になって、また笑うことができるようになります。

この文章は、私にとっての、“水の中の水中眼鏡”なのかもしれません。
読むたびに、優しく元気付けてくれる言葉です・・・。


そして、詩で好きなのをというと、迷ってしまいますが
辛いいとき目を離せなくなるのは「強く言い切る」という詩です。


人の気持ちは たぶん どうにでもなる

どうにもならないと思っていても、

どうにかなればそれはそれでタフについていく

人は何でもいいから「なんとか」と言い切ってもらうのを

待っているんだと思う

だから

強く言い切れることなんて何もないと知っていながら

強く言い切ってしまえる人を

私はすごいと思う

どんなことも いつかどうにかなっていく


このラスト一文が、すごく納得します。
当たり前のことなんだけど、すごく胸に響きます。


ちなみに、その隣のページに書かれた詩も大好きです。
背景が花の写真なのですが、詩ととてもよく合っていて、
詩だけで読むより写真とセットで読むのが一番ですね。


私自身は、詩を読みたくなるのは寂しいときや悲しいとき、悩んでいるときが多いので、
寂しそうな詩か、きっぱりと言い切ってくれるようなのが好きです。


この本を見て思ったのは、詩だけじゃなくて写真がついていると、
気持ちが何倍にもふくらむ、ということでした。
そういう意味で、この本は本当にお気に入りです。



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