白い嵐

 チャック・ギーグ作 岡山徹訳  ソニー・マガジンズ


あらすじ
1961年、19人の乗組員を乗せた船『アルバトロス号』は嵐に遭い、6人の命とともに沈没しました。
この本は、アルバトロス号に乗船していて生き残った一人、チャック・ギーグがそのときの航海の日々について書いたものです。


船の上で語学や航海術を勉強できるチャンス・・・。
そんなチャンスが訪れた17歳のチャックは、希望に満ち溢れて出発しました。

素人だった彼らは、船の上で生活するうちに、航海士としての腕を磨いていきます。
たくさんの島や町に上陸し、まさに冒険の日々。

そんな中、突然嵐に遭遇し、あっという間に船は沈んでしまったのです・・・。



感想
この本は実話です。

船で本当に航海しながら語学や航海術を学べるという、画期的な企画。
チャックやその仲間たちにとってはまさに夢のようなチャンスです。

少年たちのわくわくとして、輝いている冒険の日々が、この本の大半を占めています。

しかしそこですっと差す暗い影。
一瞬の嵐で奪われた友達の命。

いきいきと仲間たちの様子が書かれているだけに、沈没する瞬間の描写は胸が詰まるようでした・・。

友人の命を助けるために、犠牲になってしまった命。
一瞬の行動の差で生まれた不運。
同じ船の上で、命が助かる人と助からない人の差はどこにあるのだろう、と切なくなるばかりです。

海に憧れる人は多いと思いますが(私も海が好きです)
海は大きな魅力だけでなく、恐ろしさも秘めているのだと改めて感じました・・・。



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