心にしみる贈りもの

 緒方知行編  祥伝社


内容
「シャディ」が、創業七十周年を記念して、「贈りものに関するエピソード」を募り、全国からよせられたものから特に選ばれた62編。



感想
ものすごく感動します!!!

62個のエピソードが載っているのですが、私はいつも50回は泣きます。

何回読んでも泣けるのは、本当にすごいです。


内容は様々で、両親への贈りもの、子供からの贈りもの、友達からの贈りもの、夫や妻からの・・・いろいろです。


私が一番好きなのは・・・といっても、非常に迷うところなのですが・・・

やっぱり、これでしょうか。(途中までですが、これだけでも十分感動です)


『ウェッジウッドの奇跡』

『その宅急便を受け取ったのは、はじめての結婚記念日の朝のこと。

受け取りのハンコを押し、宛名に目を落とした私は真っ青になった。

送り主の名前が昨年亡くなった祖母のものだったからだ。


      どうして?なぜ?だれかのいたずら?なにかのまちがい?


疑問符をみだれとばしながら私はおそるおそる包みをひらいた。

中身はウェッジウッドのケーキ皿とポットだった。


      おばあちゃんが約束を守ってくれた?


私の結婚が決まった時、祖母はウェッジウッドのティーカップをペアで贈ってくれた。

私はこのシリーズが大好きだった。大喜びする私を見て祖母は目を細め、言った。


「そんなに好きなら毎年結婚記念日に少しずつプレゼントしてあげるよ」

「じゃ、ディナーセットが全部揃うまで離婚できないわね」


そんな会話を交わしていたのに、はじめての結婚記念日を待たずに祖母は急死してしまった。
いくら彼女が律儀でも天国にウェッジウッドは売っていないはず・・・・・・。


私は食器店に問い合わせてみた。
それでわかったのだが、倒れるひと月ほど前祖母は品物を選びお金を払い込み期日を指示して送ってくれるよう手配していたのだった。


その夜、夫とともにそのティーカップとポットでお茶を飲みながら、ぽろぽろ泣いてしまった。
私はおばあちゃん子であった。


それから一年、二回目の結婚記念日に信じられないようなことが起こった。

またもや祖母からの贈り物が届いたのだ。

今度はディナープレートだった。祖母はいったい何年分の代金を払いこんでいたのだろうか。・・・』



このお話は、これで終わりではありません。

とても素敵なラストを含めて、本当に感動的なお話です・・・。大好きです!


他にも何だかすごく好きなのは、泣けるのとはちょっと違いますが素敵なお話です。

『宅急便の宛名』というお話で、大学時代見ているだけだった好きな人から突然電話がかかってきて、「今京都にいる。ヤツハシ送ったから」と言われるのです。

そして届いた宅急便。そこに書かれた自分の宛名を目が痛くなるくらい眺めます。

今まで何度も無感情に書いてきた自分の名前を、彼が書いた。
それだけで、ものすごく特別な、今まで見たことのない不思議な文様のように見えたそうです。

片思いならではの純粋な思いがあふれていて、とても素敵だと思いました。

そのあとにどうやらその人と結婚するらしいことが書かれていたので、もっと素敵だ、と嬉しくなりました。


この本を私が買ったのはもうそうとう前のことで、私の記念に買った思い出深い本です。

何度も何度も読み返しては涙が溢れてくるのですが、本当に、どのお話も愛情と優しさに満ち溢れていて、贈りものの素晴らしさを実感します。


私自身は贈りものが苦手なのですが・・・
この本を読むと贈りものというのは、その思い出を聞く人にも、優しい気持ちという贈りものをくれるんだな、と思うのです。


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