悲劇の少女アンネ

 シュナーベル作 久米穣訳 小野木学画  偕成社


あらすじ
第二次世界大戦中、ナチス・ドイツに迫害され、二年間の潜伏生活の後、収容所でその生涯を閉じたアンネ・フランク。


彼女の人生を、読みやすくまとめた物語です。


アンネが生まれた頃の環境。

アンネはどんな子供だったか。

そしてアンネが隠れ家に住んでいた頃のこと。

最終的に、収容所でどのようだったか・・・。


ところどころ写真をまじえながら、わかりやすく書かれています。

その後、アンネが有名になり、日記が出版されるようになったいきさつも、載っています。


また、アンネが書いた作品もいくつか載っています。

それを読むとアンネの気持ちがよくわかります・・・。



感想
アンネ・フランクは、非常に有名です。

単に迫害されたユダヤ人の少女、というだけではなく、彼女は、迫害された全てのユダヤ人の代表の存在になっています。


しかし実際の彼女がどんな風な少女だったのか、細かく知っている人ばかりではないと思います。


私もよくは知りませんでした。

日記を読み、そしてこの本を読んで、少しずつわかってきた感じです。


アンネの日記とはまた違った、アンネがここにはいます。

そして、日記を書き始める前と、日記を書けなかった収容所のことも知ることができます。


アンネは本当に、魅力的な少女だったのですね。

そしてまた、その想像力の豊かさには、本当に感心してしまいます。

と、同時に、それを生かせなかった未来がとても残念です・・・。


この本は、アンネだけではなく周りの人たちの描写も丁寧に書かれているので、とても読みやすいです。

その頃のドイツや、ヒトラーの考えも知ることができました。


あとがきに、アンネの父、オットー・フランクの言葉が載っています。


「アンネの気持ちが本当にわかるのは、国境を問わずアンネと同じ年代の少年少女でしょう」


その言葉通り、この本の、大きな文字や文章は、子供たちに読んで欲しいと訴えています・・・。


アンネ・フランクは、物語の主人公ではありません。
本当に実在した女の子です。

そして、たくさんの、戦争の被害者の一人です。


戦争と人種差別は分けて考えることはできません。


アンネが夢見た、差別のない社会はまだやってきませんが、

戦争をしてはならない、差別をしてはいけないというメッセージは、

ずっと繰り返し伝えていかなければならないことだと思います。



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